新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

【感想】夢の叶え方を知っていますか?森博嗣著-何故、あなたの夢は実現しないのか

夢の叶え方を知っていますか?森博嗣著

久しぶりに森博嗣氏の新書が発売されました。朝日新書から出た「夢の叶え方を知っていますか?」です。これまで刊行された氏のエッセイから「夢とは何か」「夢の叶え方」についてまとめられた一冊。

前半は、理系作家らしい「夢」の定義と分類。後半は、著者の半生に照らした「夢の叶え方」を述べています。このエントリでは、前半部分の夢に対する著者の定義、考察で得た「新しい視点」について紹介します。

自分の夢なのに他者が介入する

夢を叶える行為は本来、自己満足の追究です。にもかかわらず、他者が介在することで、はじめて自分の満足が得られる夢があります。

たとえば高級車を購入する夢(願望)は、単に、自分がその車を所有して眺めたり走らせたりすれば満たされるのでしょうか。もし、満たされるのであれば、それは自己完結できる夢といえます。

しかし多くの場合は、そうした高級車に乗れば「あの人は驚くだろう」「羨ましがられるだろう」という思いが潜んでいるものではないでしょうか。

このように夢には2種類あります。自分が「見たい夢」なのか、それとも人に「見せたい夢」なのか。後者は、とにかく他者を振り向かせる方向に重点が置かれていきます。最終的に「いったいそれは誰の夢なのですか」という話になります。

夢とは自分の自由の追求です。自分の自由とは、自分が自分の行為に満足することといえます。後者の他者によって満足するという点で、その夢は、はかない。夢は本来自己満足にすぎません。

 

夢は静止画ではなく動画で見る

f:id:promotion173:20170122131201p:plain

たとえば、結婚式の理想の1シーンを夢見る。TVドラマや友人の話で、刷り込まれた理想像。問題は、この1シーンを実現したらどうするのか、にあります。結婚式の一瞬が、夢のすべてであったなら、結婚生活はすべて消化試合になってしまいます。

夢は、1枚の絵ではなく、現在進行形の動画で捉える。1枚1枚のシーンは、もっと先に設定した夢の最終形の通過点、あるいは目先の目標くらいに捉えた方が良いのではないでしょうか。

ひとつの夢を叶えた後は、もう夢はない、というのは寂しいことだと思います。

 

人生80年をかけて実現できる夢

f:id:promotion173:20170122131926p:plain

夢は何歳になっても持てるものですが、大きな夢を叶えるには相当の時間がかかります。すぐに叶う夢は、予定や目標に近いもので、その後の人生の夢をどうするのか、という課題を生みます。

できるだけ大きな夢、時間のかかる夢を持てば、生涯その夢を叶えるために楽しむことができます。

夢は早く実現する可能性がある

実現可能だけれど難しい、相当時間がかかる、と思うような夢でも、テクノロジィの進歩で思いがけず早く実現する可能性があります。たとえば、語学を学んで、世界中の人たちとコミュニケーションをしたい、という夢。

こんな夢も翻訳アプリとネット環境が、言葉の壁と伝達の壁を一挙に取り去ってしまいます。今はとても無理だろう、と思うような夢でも、数年後には夢ですらない、という事態は十分に想像されます。

大きな夢を持つ意味は、ここにもあります。

 

小さな成功が大きな成功の障害

成功体験は動機づけの貴重な要素になります。従って、小さな成功体験も、さらに大きな成功、夢を目指す動機になれば、価値があります。問題は、その小さな成功体験で満足してしまって次のステップ、高みを目指さない要因になることです。

たとえば、作家になるのが夢で、文才もあるのに、SNSやネットに文章を投稿し続けている人がいます。仲間からの期待に応え、好評を博しているうちに、本来のもっと大きな成功、夢への歩みが止まってしまいます。

まとめ

森博嗣の新書「夢の叶え方を知ってしますか?」の前半部分から、気づきを得た点を紹介しました。夢というと荒唐無稽で「実現しないもの」と考えている人がいます。

しかし、著者は、夢を長期間かけて実現するもの、ライフワークであり、人生の指針となるものと捉えているように感じます。夢はいくつになっても見られます。お金でも社会的成功でもないピュアな夢は人生の支えとなります。

同書は、若者だけでなく、今さら「夢なんて」と、夢破れたと錯覚している大人にも数多くの気づきを与えてくれます。