動物や虫の数え方を知っていますか?
この質問をすると「匹」「頭」が思い浮かぶのではないでしょうか。
ライオンが1頭、クマが1頭、犬が1匹、ネコが1匹。このような「頭」や「匹」は動物の代表的な数え方です。
でも「頭」や「匹」の使い分けをどうするか、わかりますか?
頭や匹の数え方のルール
あまりに身近で考えたことがなかったかもしれません。実は、動物の頭や匹には、基本的な使い分けの法則があります。
頭・匹の数え方
- 人間より大きな動物は「頭」
- 人間より小さな動物は「匹」
ライオンもクマも人間より大きいから「頭」で数えます。
一方、犬や猫は人間よりも小さいから「匹」で数えます。これが動物の数え方の基本です。
しかし例外もあります。
頭や匹の例外
ライオンは、人間より大きいので頭で数えます。けれども生まれたばかりの人間より小さいライオンはどう数えるのでしょうか?
この場合は、「頭」でも「匹」でも大丈夫です。動物が成長し、体が大きくなるにつれ「頭」を使うようになります。
また人間より小さい動物でも「頭」を使う場合が2つあります。
人間を助けてくれる動物は「頭」
たとえば、次のような動物は人間を助けます。
- 盲導犬、警察犬、救助犬
- 新薬の開発に実験に使うマウスなど
これらの人間を助けてくれる動物は、人間より体は小さいですが「匹」ではなく「頭」で数えます。
絶滅のおそれがある動物は「頭」
また絶滅のおそれがあったり、人間にとって価値のあったりする動物は体の大きさに関係なく「頭」で数えます。
- イリオモテヤマネコ
- 蚕
たとえば、沖縄県西表島のイリオモテヤマネコは、飼い猫と同じくらいの大きさですが、絶滅のおそれがあるため「頭」で数えます。
また蚕は、人間にとって価値のある家畜として捉え、昆虫ですが「頭」で数えます。
蹄のある動物は蹄(てい)を使う
馬は人間より大きいので基本は「頭」で数えます。しかし、馬やイノシシ、鹿などは 足に大きくて固い爪(蹄│ひずめ)を持っているので、蹄(てい)で数えます。
馬の場合は、4本の足に蹄があるので「4蹄」です。馬1頭は4蹄というわけです。しかし、イノシシや鹿は、馬と同じく足が4本 ありますが、1頭を「1蹄」で数えます。これは不思議ですね。
- 馬一頭は4蹄
- 猪や鹿は一頭で一蹄
豚の数え方
豚の数え方はどうなるでしょうか。
豚は、1匹か1頭を使うのが普通です。蹄があるので猪のように1蹄も使えそうですが、あまり耳にすることはありません。
- 匹…子豚のとき
- 頭…成豚のとき
豚の場合は、このように体の大きさで「匹」「頭」を使い分けるのが一般的です。
羽のある鳥の数え方は?
鳥は「羽(わ)」で数えるのが基本。
理由は単純で鳥には「羽」があるからです。鳥はスズメやインコのように小さくても、タカのように大きくても「羽」で数えます。
ペンギンなどの飛べない鳥の数え方も基本は「羽」
鳥の中には、空を飛べない種もいます。
ダチョウやペンギンなどです。これらは、飛べませんが、羽はあるので、同じように「羽」で数えます。
ただし、ダチョウは「頭」、ペンギンは「匹」で数える場合もあります。空を飛べない生き物は、動物の数え方を当てはめることがあるのですね。
クジャクは「面」で数えることも
クジャクも羽がありますから基本は「羽」で数えます。
しかし、ある理由から「面」で数えることもあります。その理由は想像がつきますよね?
オスのクジャクは、羽を広げると扇(おうぎ)のような姿になります。扇は「面」と数えます。そのためクジャクは扇の数え方と同じ 面で数えられるようになったのです。
なぜウサギは「羽」と数えるの?
ウサギの数え方も動物の数え方にならい1匹、2匹と数えます。
けれども、昔はウサギを1羽、2羽と数えました。ウサギは鳥でもないのに、なぜ「羽」で数えられたのでしょうか。
代表的な説を3つご紹介しましょう。
仏教の戒律を逃れる方便
仏教では、牛や豚、ウサギなどの4本足のけものを 食べることが禁じられていました。どうしても食べたくて辛抱できなくなったお坊さんが、後ろの2本足で立つことのできる ウサギを「これは鳥だ」と言って食べたからという説があります。
ウサギの耳が鳥に見えたという説
長い耳が鳥の羽に見えたこと、さらに野山を走るウサギが空を飛びまわっている鳥のようなので、鳥の 数え方「羽」をあてはめたのではという説もあります。
把が転じて「羽」になったという説
ウサギの長い耳をくくって、束という意味の「把(わ)」と数え、それが転じて「羽」と 数えるようになった説があります。
あなたはどの説を信じますか。
昆虫の数え方は「匹」が一般的
ここまでは動物や鳥の数え方を見てきました。では、虫はどう数えるのでしょうか。
昆虫は、動物と同じように数えます。昆虫は、ほぼすべて人間より小さいので「匹」を用います。チョウもガもトンボもカブトムシも すべて「匹」で数えればまちがいありません。しかし、チョウは昆虫なのに「頭」を使うこともあります。
なぜチョウは「頭」で数えるのか?
明治時代のはじめに英語で書かれた論文に、チョウを「one head」「two heads」と頭を意味する「head」で数えていた記述があります。これをそのまま 訳したため、チョウを「1頭」「2頭」と数えるのではないか、という説が有力です。
また、チョウの標本を作るときは、頭があることが重要なので、「頭」で数えるようになったという説もあります。 ちなみに、ガは姿がチョウに似ていますが「匹」で数えます。
学問の世界では、チョウに限らずトンボ、カブトムシも「頭」で数えます。 ふだん何気なく使っている数え方も分類してみると楽しいですね。