ダイレクトメールの成功のポイントは、宛先で決まります。名前と住所のわかるすべての顧客に送付する手もありますが、費用対効果が合いません。
ハガキでダイレクトメールを送った場合、1通約50円かかります。何百、何千という宛先に発送すると、かなりの費用負担に。かといって、DMが届いた顧客が必ず来店してくれるわけではありません。
そこで重要になるのが、宛先のリストの絞り込みです。この記事では、使いやすい宛先の選定法を説明します。
ダイレクトメールの反響率は?
ダイレクトメールの反響率は、業種や特典内容で変化します。ここでは、誕生日関連のダイレクトメールとセールや特別招待会の反響例をあげます。
同文館出版 当たる「手書きチラシ」のルール(今野良香著)では、一般的な反響率のデータとして下記の数値があげられています。
- 誕生日関連DM 20~30%
- セールや特別招待会 30~50%
若干、想定反響率が高いように見えますが、この反響率と必要経費を基にして、妥当な送付枚数を決めます。
宛先と枚数の考え方
たとえば、ポイントカード会員様限定の特別招待会の告知をハガキDMで送付するとします。会員様が、全部で1万名いる場合、全員に送付すると約50万円の経費がかかります。(ハガキ1枚50円で計算。実際は印刷費が別途必要)
仮にこの店舗のセールの売上目標が100万円としましょう。この売上目標に対して、ダイレクトメールの経費に50万円はかけられません。まったく利益が残らないからです。
広告や販促に使える経費は、一般に売上の10%が目安で、売上目標が100万円なら販促経費は10万円までが妥当です。(粗利益率で変わります)
したがって会員1万人すべてではなく、10万円(当初の経費の1/5)で送れる分だけに絞る必要があります。会員1万名の5分の1、つまり2000名(枚)が送付対象になるのです。では、具体的に宛先はどのように絞ればよいのでしょうか?
宛先はRFM分析で絞る
どこにDMを送るのか。送付先の絞り方、選定にはRFM分析を使います。
RFMは、Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)の頭文字を取ったもの。これらの3要素すべてにおいてポイントが高いお客様を優良顧客と考える分析法です。
ポイントを高い顧客は次の通りです。
- 直近で来店している顧客
- 過去来店回数が多い顧客
- 過去の累計購買額が多い顧客
ひとつの要素だけでなく、複数の要素でポイントを勘案しましょう。
取得後2年で反響率は激減
宛先選定に有効なRFM分析ですが、特に重視すべきなのが「直近で来店しているのはいつか」です。ダイレクトメールも顧客も「鮮度が命」といえます。
顧客データを取得から2年以上経過し、直近の来店日も2年近く前。これに該当する顧客は、反響率が著しく下がります。宛先に悩んだ場合は、最近、来店・購買して顧客名簿に加えたばかりのお客様を優先しましょう。
まとめ
以上、反響率の高いダイレクトメールの宛先と枚数の決め方について解説しました。名簿の上位2割が反響の8割を占める、パレート(20:80)の法則は、ダイレクトメールにもいえます。
マグレ当たりを狙うのではなく、想定売上の10%を販促予算の上限とし、名簿から期待値の高い顧客に絞って送るのが成功のコツです。