新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

地図の書き方で考え方が見える

広告には、地図がつきものだ。新入社員に地図を書かせると、書いた人の頭の中を覗くようで面白い。地図の書き方には、コツがあるが、最初は何も教えないで自由に書かせてみる。はじめから良い地図を書く子は、見込みがある。

良い地図は、目的地まで人をスムーズに導くことができる。そのためには、人がどこで迷うのか、を客観、想像する力が必要だろう。典型的な失敗例を3つあげる。あなたはこんな地図を書いていないだろうか。

 

デザインされていない地図

地図は、北を上にして書くのが常識だ。しかし、最近は、地図を書いている自分を基準に目的地の方角を上にする人が少なくない。進行方向を上に表示するのはカーナビの影響だろう。地図を読むのは「自分ではない他人だ」という客観が欠けている。


次に多い失敗は、地図に細かな道を書き過ぎるもの。精密に書けば親切、迷わないと考えている。GoogleMapを写した地図を書く人もいる。しかしこれは大間違い。

地図は、利用者を現在地から目的地まで最短経路で導くもの。目的地に向かうにあたって通るべき道が一目でわかるものが優れている。つまり、目的地に関係のない、不要な道をできるだけ省略することが大切なのだ。細かな道を書きすぎる人は、目的に対して何が大切か、理解していない。

最後の失敗は、地図の利用者が、どこを起点(スタート)にして、目的地に向かうのかを想定していない。目的地を伝えるだけでは地図は不十分なのだ。電車で訪れる人には最寄駅を起点に、車で訪れる人には、認知度の高い幹線道路を起点に示す必要がある。

起点が示されていないと、人は道に迷う。道に迷うというと、目的地を見失うことだ、と考える人がいるけれど、そればかりではない。方向音痴の人、道に迷う人というのは、概して目的地ではなく「現在地」を見失っている。

自分が今、地図のどこに立っているのか、どちらを向いているのかが、わからない。そのため目的地に向かう正しい進路が選べない。良くできた地図は、起点だけでなく、ランドマークが適当に配され、現在地が把握しやすい。

 

地図と人生

わかりやすい地図が書ける人は、目的地に着くには、どのルートを行けば良いか、俯瞰し情報を整理できる能力を持っている。常に自分の立ち位置、現在地を適切に把握しているので、目的地に着くための「方策」が立てられる。

これは地図だけの話ではない。人生の歩み方にもいえる。目標を立てても、自分の現状認識が不十分で、適切な方策を見つけられない人。非常識な自己流で、目標から遠ざかる人。目標に向かう王道を歩まず、脇道や関係のない道で時間を浪費する人。

実際、こうした人は少なくない。誤解しないで欲しいが、別にこうした歩み方がいけない、と言っているわけではない。道すがら何か尊いもの、美しいものを見つけるかもしれない。目的や目標を達するより、価値があることも、人生にはある。

ただ、そうした歩み方では、目的地や目標には近づきにくいといえる。何を見つけるかは、運まかせになるだろう。

JR稲沢駅操車場跡

JR稲沢駅・操車場跡。周辺をたまにウォーキングする。