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新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

プロは仕事に手応えを求めない

仕事の手応え

若いスタッフは、仕事に「手応え」を求めているようです。自分が取り組んだ仕事に対する周りの反響、身を粉にしてやり遂げた充実感に喜びを感じているのです。

わたしは、あまり手応えのある仕事は、望ましくない、と考えています。なぜなら、手応えとは、物事を推進していくときに生じる抵抗に過ぎないからです。仕事に手応えを感じるのは、プロセスに障害があったともいえます。

 

準備不足が仕事を困難にする

野球を見ていると、ファインプレーをする選手は、2タイプに分かれます。1つは文字通りのファインプレーで、完全に裏を欠かれているのに、機転と運動能力でリカバーするタイプです。ただし、無理をするためリスクも大きくなります。

もう1つは、守備のポジショニングが甘く、修正のために落下点に全力で走ったり、滑り込んだりして捕球するファインプレーです。派手に見えますが、守備の上手い選手なら、落下点に先回りし、もっとラクに、確実に捕球します。

手応えのある仕事というのは、多くの場合、ポジショニングに問題があります。つまり準備に改善の余地がある仕事ぶりといえましょう。

プロは、ファインプレーをしないで済むよう備えます。無駄な力をかけず、なめらかに、スッと切れるような仕事を心がけます。

 

手応えのないのが理想の仕事

手応えのない仕事、切れ味の鋭い仕事をするには、どうすればよいのでしょうか。切れ味は、仕事がないときに毎日刃を研ぎ、磨き上げたものだけが手に入れることができます。

つまり仕事の「手応え」とは、他人の目に触れる前、準備段階で、自分自身で確信するものなのです。

 

他人の評価は仕事の手応えか

他人の反響の大きさを仕事の手応え、という言う人がいます。誰かに認められる、評価されることが満足につながっているのです。これは仕事をする上では、大事な一面ですが、しかしそこに手応えを感じているうちは、志が低いと感じます。

他人の顔色を見て仕事の評価を決めるのは、プロではありません。プロは、自分自身に確固たる評価基準があって、それに従って淡々と仕事をこなすものだからです。

手応えは、若い人に自分の成長を感じさせる力があります。能力ぎりぎりの困難に向き合い、試行錯誤で乗り越えたとき喜びを実感します。しかし、そこにはプロとしての信頼性も安全性もありません。

経験を積むと、手応えは殆どなくなります。抵抗なく、きれいに仕事をこなせるようになるからです。本当の成長とは、手応えを感じることではなく、手応えを感じなくなることなのです。