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ストレスフリーの幸福論「無敵の思考」とは? ひろゆき著

無敵の思考 西村ひろゆき

2ちゃんねる、ニコニコ動画、英語圏最大の匿名掲示板4chan、世界の管理人として名をはせる、 ひろゆき氏の新刊「無敵の思考」が出ました。IT系の有名人として、 堀江貴文氏と同列で語られることが多いのですがタイプはまったく違います。

堀江貴文氏の「多動力」を動とすると、ひろゆき氏の「無敵の思考」は静の印象です。 この本では、最小の労力で最大の成果を得る、コスパ重視の考え方を21のルールに分けて紹介しています。

ストレスを最小化する「ルール」論

ストレスの大半は、状況状況の中で、都度、判断し処理することで生じるのではないでしょうか。 無敵の思考では、この判断を少なくするために、予め判断基準「ルール」を決めておくことを推奨します。

たとえば、はじめて入る飲食店で何を注文するか。

  • スタッフのおすすめに従う
  • いちばん安いものを注文する

予めこのようなルールが決めてあれば、メニューを見て悩まずに済みます。悩むのは、選択に頭を使うからです。 選択肢を可能な限り減らすルール(判断基準)を前もって用意する。これがストレスを減らすのです。

株式投資に売買の判断条件を設定して機械的に取引をするシステムトレードという手法がありますが、 まさにその感覚に近いものです。

実生活は選択の連続です。 最重要なことに自分の能力を集中させるために、優先度の低いことは判断のルールを定めて、 機械的に選択肢を減らすのは効率がよいといえます。

「無敵」の思考とは?

無敵の思考というと、誰彼となく競争して打ち勝つという印象があります。 しかしこの本でいう無敵はまったくの逆です。 物事の捉え方や視点を変えて、敵や問題として捉えていたものを自分の頭の中で捉え直したり、消し去ったりして、 敵のいない「無敵の状態」を手に入れようというものです。

そういう意味では、仏教的な教えにも通じます。

「無敵の思考」の批判について

Amazonのカスタマーレビューを読むとわかりますが、この本は 全編をひろゆき氏が書いたものではありません。過去の発言をまとめて大和書房の編集者が 書いたものです。

真偽は不明ですが、ひろゆき氏が書いたのは後書きの「おわりに」だけとのことです。

このことからAmazonカスタマーレビューでは、批判的な意見も多く投稿されています。 しかし、私は本編を書いたのが誰か、というのは問題ではないと考えます。 というのは、直接ひろゆき氏が書いたものではなくとも、著者として監修して自分の名前で発行してよいと判断されたものだからです。

編集者が書いたことで、客観的で読みやすい構成に仕上がっていますし、 過去のひろゆき氏の発言が過不足なく網羅されています。 私は、ニコニコ動画やYoutubeで、ひろゆき氏が出ている動画のほとんどを見ていますが、 この無敵の思考1冊にコンパクトに氏の考え方がまとめられていると思います。

公開されている動画を見れば、書かれている内容の元ネタをすべて知ることはできます。 しかし、何十本もある動画を時間をかけて見るのは、現実的ではありません。 はじめて、ひろゆき氏の思考法にふれる人には、テキストで要点のみまとめられた本書は、 きわめて効率的だと考えます。

無敵の思考をおすすめしたい人

堀江貴文氏の「多動力」を読んで違和感を感じた人におすすめします。 行動することで小さな成功体験を積み重ねて変化を楽しむのが堀江式だとするならば、 今ある現実の捉え方を変えて、そのまま楽しく幸せになる方法を伝えるのが、ひろゆき式の本書です。

最後に「おわりに」から引用します。

おいらは、「人はなぜ生きるのか?」を考えると、「死ぬまでにできるだけ楽しく暮らすため」ってのが答えだと、 今のところ思っています。そのためには、自分が楽しいと思えるように物事を変えてしまうのも含めて、 長期的に楽しいと感じることをなるべく増やして、不快に感じることをなるべき減らすのがいいと思っています。

先進国で生まれた人は、だんだん経済的に息苦しくなることが、おいらから見ると自明なので、 「経済と自分の幸せを切り離せるか?」ってのが、大事なのかなぁ…、と思っています。 「先進国の経済はずっと発展するんだ!」と主張する人もいるでしょうが、10年後ぐらいにもっとわかりやすくなっていると思います。

現在、日本のGDPは世界3位ですが、GDPを人口で割った一人当たりの名目GDPは、世界22位(2016年)です。 為替の影響もありますが、バブル期以降、一人当たりの名目GDPの順位は他の先進国に比べて大きく下落しています。

今のうちに、ひろゆき氏の幸福論に目を通すのもよろしいのではないでしょうか。