新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

プロの書評と感想文の違い - ニッポンの書評【ブックレビュー】

書評とはどういうものか。書評と感想文の違いはどこにあるのか。そうした疑問を解消できればと思い手にしたのが、光文社新書「ニッポンの書評」豊崎由美著です。

ブログで本の紹介をするとき、自分の書いている文章が「感想文」なのか「書評」なのか、あるいは「読書メモ」なのか分類に悩みます。本書の第10講で「プロの書評と感想文の違い」が論じられています。

 

【内容】いい書評とダメな書評の違いは? 書評の役割、成り立ちとは? 一億総書評家時代の必読書。

 

書評と感想文の違い

書評と感想文の違いを説明するのに著者は自らが大学の教壇に立ち生徒に書評を提出させた経験を引きます。著者は、課題本として挙げた小説の作者に、生徒たちが提出した書評を送ります。その作家の返信から、二つの違いについてこう語ります。

 

書評と感想文の違いは、このAさん*1の言葉が示しているような気が、今のわたしにはしています( 10年後はどう思っているかわかりませんが)。

つまり、プロの書評には「背景」があるということです。本を読むたびに蓄積してきた知識や語彙や物語のパターン認識、個々の本が持っているさまざまな要素を他の本の要素と関連づけ、いわば本の星座のようなものを作り上げる力。

それがあるかないかが、書評と感想文の差を決定づける。今のわたしはそんな風に考えているのです。

 

書評王の島 - 豊﨑由美公式ブログ

 

背景を描きシルエットを見せる

感想文が、作品そのものに焦点をあてて語られるのに対して、書評は、必ずしもそうした書き方にとらわれません。たとえば、絵を描くとき、先に背景の明暗を細密に仕上げて、対象のシルエットを浮かび上がらせる手法があります。

魅力的なシルエットを見ると、正体が気になるものです。いい書評とは、背景を丁寧に解説することで、作品の輪郭を浮き上がらせ、読者の関心を引くものです。

ネタバレは、読者の楽しみを奪います。「背景」を描くプロの書評は、作品を読む楽しみは守りながら、より深く作品を理解する視点を与えるきっかけになります。この本から、そうした気づきが得られました。

 

ブログで本を紹介する人に

さて、この本ですが、ブログで本の紹介を書く人におすすめです。書評と感想文の違い以外にも興味深い話題が数多く収録されています。

  • 粗筋紹介も立派な書評
  • 「ネタばらし」はどこまで許されるのか
  • Amazonのカスタマーレビュー
  • 新聞書評を採点してみる
  • トヨザキ流書評の書き方

各講の表題を挙げてみましたが、これだけでも面白そうでしょう。2011年に発行された本で古書はAmazonで安く手に入ります。逆に新品はすでに数が少ないようです。未読の方はご一読ください。

 

 

関連記事おすすめの本一覧
書評ブログ書き方のコツ

*1:課題に挙げた小説の作者