新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

またブロックするんだ。本当に相手が悪い!? それ誤解ではありませんか

ネットの誤解でもめる人たち

ネットでの人間関係のトラブルは、なぜ起こるのでしょうか。もめごとの多くは、誤解に基づくことが少なくないように見えます。人間は、物事を自分の見たように聞きたいように捉えます。

相手の発信や話したことの一部を自分の好き勝手に解釈して、喜んだり怒ったりするのです。相手の伝えている内容を冷静にきちんと理解すれば、SNSや人間関係のトラブルはずいぶん減るのではないでしょうか。

SNSや人間関係の誤解は次の3つが原因です。

  • 思い込みで反応する
  • 目についた言葉の一部に反応する
  • 自分の考えを客観的に検証しない

これらを正す処方箋として、わたしは算数の問題を解く練習が有効だと考えます。かんたんな問題を2つ出しますので、いっしょに考えてみましょう。

 

かんたんな算数で読解力テスト

 

【問題1】1階から5階まで上がるのに4秒かかるエレベーターがあります。このエレベーターに乗って1階から10階まで上がると何秒かかるでしょうか?

 

 

5階まで4秒かかるのだから10階までなら倍の8秒*1だ。

 

 

【問題2】A地点からB地点までを往復した自動車があります。A地点とB地点の間の距離は片道150kmです。行きは時速30kmでゆっくり走行し、帰りは時速50kmで急いで走行しました。このとき自動車の往復の平均速度は時速何kmでしょう?

 

 

これもカンタン!行きが時速30kmで帰りが時速50kmなのだから、平均時速はちょうど間の時速40km*2さ。

 

 

みなさんはペンギン君の答えがまちがっているとわかりましたか。問1の正解は9秒、問2の正解は平均時速37.5kmです。答えの導き方は、脚注に書いておきます。

 

共通する間違え方の特徴

上にあげた問題の間違え方には、共通の特徴があります。

  • 思い込みで答える
  • 条件の一部だけで解く
  • 答えを図などで検証しない

エレベーターの問題は「10階は5階の倍の高さだ」と、思い込むと間違えます。冷静な人なら5階まで4秒という条件を見て「なぜ5秒ではないのだろう?」と疑問を持つはずです。また、実際に10階建てのビルの絵を描いてたしかめれば、正解に気づきます。

平均時速の問題も同様です。すべての条件(往路、復路の距離とそれぞれの時速)を検討すれば、往復にかかった「時間」が明らかになります。条件に「所用時間」は書いてなくても、他の条件から推論できる*3のです。

こうしたすべての条件を検討しないで、目についた一部の条件だけで答えを出すと間違えるのです。

 

誤解のない楽しいネットライフを

ここまで読んで、ネットで生じる誤解と算数の間違え方がとても似ていると多くの人が気づいたのではないでしょうか。

よくネットに投稿された発言に反応して「自分のことを批判している」と感じる人がいます。しかし、それは多くの場合、その人がいつも気にしている劣等感を刺激する言葉を無意識で見つけ、文脈も検討せず「攻撃された」と苦しんでいるように見えます。

すべてが誤解だとは言いませんが、自分の思い込みや視野の狭さを疑い、筋道を立てて物事を捉えることができれば、世の中の見え方は大きく変わるでしょう。

 

読解力を養う算数おすすめ本

最後におすすめの算数本を2冊紹介します。BLUEBACKSの「大人のための算数練習帳」は、論理思考を身につける文章題の良問がそろいます。小学生の算数と中学生の代数を使った数学の2通りの解き方が解説されています。

発刊からかなり月日が経っていますが、名著として長く読み続けれています。1冊だけ読んでみるならこちらがおすすめ。

大人のための算数練習帳―論理思考を育てる文章題の傑作選 (ブルーバックス)

大人のための算数練習帳―論理思考を育てる文章題の傑作選 (ブルーバックス)

 

 

こちらの「この問題、とけますか?」は、2017年2月に発刊されたばかりの文庫。この記事で取り上げたエレベーターの問題は、この本に収録されています。小学生のやさしい算数を使った、解法の発想に面白さがあります。

この問題、とけますか? (だいわ文庫)

この問題、とけますか? (だいわ文庫)

 

 

*1:1階から5階までは(1-2階、2-3階、3-4階、4-5階)4区間上ることになります。4区間で4秒かかるのだから1区間は1秒。1階から10階までは9区間。したがって答えは9秒が正解。

*2:往復300kmの区間を8時間(行き150km÷30=5時間│帰り150km÷50=3時間)で走ったのだから、300km÷8時間で平均時速は37.5kmが正解。

*3:あえて口にはしないけれど文脈から読み取れる明確な条件が、実際のコミュニケーションでもあります。これが読み取れないと判断に誤りを生じます。