新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

新聞の要約のコツ - 要点の選び方と文字の削り方│社説100文字要約の例文つき

新聞の要約│社説の100文字要約法

「新聞の要約ってどうやるの?」
「そもそも要約って、どういう意味?」

こんなふうに新聞の要約に悩む子は多いと思います。実際「要約」とは、どういう作業を言うのでしょうか?

新聞記事の要約のポイントは2つあります。

  • 事実や意味を変えないこと
  • 決められた文字数でまとめること

この記事では「記事の削り方」や「要点をまとめる方法」を順を追って説明します。

 

要約とは何か?

論旨ろんし・要点を短くまとめて、言い表すことを要約といいます。

新聞記事の要約は、書いた人の主旨しゅし、すなわち「もっとも伝えたいこと」を読みとって短く書き表す作業といえます。

記事の種類で異なる要約方法

要約方法は「報道記事」「コラム・社説」で異なります。

  • 報道記事は事柄の事実を伝える
  • コラム・社説は意見を伝える

次項から要約手順を説明します。

 

要約の手順

記事の要約は下記の5つのステップで行います。

①要約する記事の種類を確認する

まずは、要約する記事が、事実を伝える報道記事なのか、記者や新聞社の意見を伝えるコラムや社説なのか、を確認します。

要約のポイントは

  • 報道記事は事実関係に注目する
  • コラム・社説は意見に注目する

注意点は、意見を要約するといっても、あなたの意見を書くのではないということ。

記者や新聞社の意見を簡潔にまとめる。これが、コラム・社説の要約の肝です。

 

②記事をひととおり読む

次に要約する記事の全文を読みましょう。

内容は理解できましたか?
わからない言葉があったら、辞書やネットで調べておいてくださいね。

とりあえずは、記事に書かれている出来事、意見が、ザッとわかれば大丈夫です。

 

 

内容の理解度は、友達や兄弟に記事の出来事を話してみると確認できます。

ちゃんと伝えられたら、記事の内容をしっかり理解できている、といえますね。

 

 

 

③元記事の文字数を数えよう

要約は、意味を変えないで文章全体の文字数を減らすこと。

なので、もとの記事の文字数を把握はあくしておくことが大切です。

たとえば、1行12字で30行の記事なら、360字(12字×30行)になり、これを200字に要約する場合、160字削る必要があります。

  • 文字を減らす量を最初につかんでおく

これが要約を効率的に行うコツです。

 

④新聞要約の3つの方法

新聞要約の3つの方法板書

要約のコツは

  • 記事の重要部分にしるしをつけること

印をつけた部分は、要約文にも残します。

記事の重要部分を見分けるには

  • 報道記事の5W1H
  • キーワードと見出し
  • 社説・コラムの意見部分

この3つに着目すると、自ずと重要部分が明確になってきます。

 

①5W1Hで事実関係を要約する

事実を伝える5W1Hの部分は要約で残す必要があります。

逆にいえば、報道記事は、5W1H以外の部分は削っても、記事の意図は伝わります。

 

5W1Hは要約に残す
When いつ
Where どこで
Who 誰が
What 何を
Why どういう目的で
How どうした

記事を読みながら、5W1Hにあたる部分に線を引きます。

5W1Hは、下の記事で詳しく解説していますので参考にしてくださいね。

新聞記事の書き方のポイントと注意点-宿題対策

 

②キーワードと見出しで要約する

キーワードとは

  • 記事に繰り返し出てくる言葉
  • 内容の中心となる言葉

をいいます。

その言葉を取り除くと内容がわからなくなる場合、その言葉は「キーワード」です。

キーワードは、記事内容を解き明かすカギとなる言葉なのです。

要約のやり方は

  1. キーワードと関連語を抜き出す
  2. 記事に書かれている順に並べる
  3. 適切な接続詞でつなげる

この3ステップで行います。

また、キーワードを探すときは「見出し」に注目することもお忘れなく。

記事内容を端的に表す言葉は、見出しに含まれていることが多いからです。

 

③社説は新聞社の意見を要約

事実を伝える報道記事では、記者や新聞社の意見は、書かれていません。しかし、コラムや社説では、書き手の意見が明記されています。

コラムや社説の要約は、記者や新聞社が考えた意見を短くまとめます。

そのためコラムや社説の要約は、意見の元になった出来事の引用は、最小限にして、記者や新聞社の意見、意見のもとになる理由を中心に書きます。

社説の説明は「社説の書き方」も合わせてご覧ください。

⑤記事を削るときのコツ

要約の原則は、指定の文字数を超えないこと。たとえば、200字で要約する場合は、180~200字で記事をまとめます。

不要な部分を削るときのコツをいくつかご紹介しましょう。

  • 文末を断定口調にする
  • 重複する言葉を減らす
  • 具体例はできるだけ削る

 

文末を断定口調にする

要約する場合は、文末を断定口調にします。「~だ」「~なった」と簡潔に表現すると文字数が減り、内容がはっきりします。

また、文末を「名詞」で終える体言止めは、新聞で多用される表現方法。断定口調や体言止めは、意味を損なわず文字数を減らすもっとも簡単な方法です。

 

重複する言葉を減らす

繰り返し記事に出てくるキーワードは、記事のスジ道(論の展開)を見直して、並び替えることで、繰り返しを避けられます。

要約では「繰り返し出てくる言葉を減らす」ことを意識しましょう。

 

具体例やたとえを削る

具体例や比喩は、コラムや社説でよく登場します。例やたとえで、記者や新聞社の意見を身近に実感してもらうためです。

しかし要約では、文字数に余裕があるとき以外は、大胆に例やたとえを削ります。これらは、理解を助ける補助的なもので、本筋の飾りに過ぎないからです。

 

 

コラムでは、書き手の意見(主張)を、例やたとえ話に交えて展開するものがあります。この場合は、例やたとえから書き手の主張を読み取って要約します。編集手帳や天声人語、余録の要約が難しい理由は、この点にあります。

 

 

 

社説100文字で要約の実例

 

新聞の社説を100文字で要約する課題が出ました。ここからは、実際に朝日新聞の社説を要約する手順を紹介します。

 

 

社説を100文字で要約するには、新聞社の「結論」を最初に抜き出します。

100文字の要約で書ける内容は「話題」と「結論」のみです。

  • 話題は、何について述べているのか
  • 結論は、新聞社の意見は何か

結論は、主に記事のタイトル、小見出し、導入部、太字、締め括りに書かれています。

まずは、結論とそれを支える意見に印をつけること。それから、残りの文字数で、話題のあらましを簡潔に書きます。

 

結論や意見の見つけ方

実際の社説を参考に結論や意見を見つけてみましょう。朝日新聞の2020年1月10日の社説を教材にします。

結論は、社説本文を読むまでもなく、タイトルの「自衛隊派遣の見直し」です。大事なことは基本的にタイトルに書いてあります。

次に朝日新聞社の意見を抜き出します。

政府はいったん立ち止まり、派遣の是非から検討し直すべきだ。

しかし、トランプ氏は追加の経済制裁を科す方針も示しており、両国の対立がさらに深まる恐れはぬぐえない。

昨年末、国会でのまともな議論もないまま、安倍政権が中東海域への自衛隊派遣を閣議決定した時とは、前提となる現地情勢が明らかに変わっていると言わざるをえない。

菅官房長官も6日のテレビの報道番組で、イランが自衛隊の活動に「理解は示している」とし、「(心配は)していない」と言い切ったが、認識が甘くはないか。
この地域に原油の供給の大半を依存する日本が今なすべきことは自衛隊派遣ではあるまい。イランと友好関係にある立場を生かし、関係国の意思疎通をはかる外交努力の徹底こそ、地域の安定に役立つはずだ。
今週末からのサウジアラビアなど中東3カ国歴訪を予定通り実施するのであれば、事態を悪化させぬよう、米国、イラン双方に一層の努力を求める立場を明確にし、国際社会に発信する場とすべきだろう。

結論や意見は、引用箇所の赤文字で示したように「すべき」「はずだ」などの強い言葉、「しかし」などの後に書かれることが多いです。

100文字の要約では、これらの結論、意見の順番を並びかえたり、重複を削ったりして意味の通る文章にします。

 

社説100文字要約の例

社説100文字要約例中東情勢が緊迫。政府は、自衛隊派遣を見直すべきだ。
関係国の意思疎通をはかる外交努力は、地域の安定に役立つ。安倍首相は、中東歴訪の際、米国、イランに一層の努力を求める立場を明確にし、国際社会に発信してほしい。

これで103文字です。

社説は、意見、結論のほかに、言葉の定義、分析、事柄の良い点、悪い点にも触れていますが、100文字の要約では、大胆に削りましょう。

 

まとめ

以上、新聞の要約のコツ - 要点の選び方と文字の削り方でした。

要約は、記事の編集作業です。短い文章で主題を押さえ、主内容がすべて含まれている必要があります。

要約では、(あなたの)個人的な意見や考えは、書きません。出来事の事実関係あるいは、記者や新聞社の意見(主張)を指定の文字数で、簡潔にまとめましょう。

 

要約の問題集で実力チェック

認知工学(M.acsess)の特訓シリーズは上・中・下と段階的に要約力を養成。厳選された問題を解くうちに要約の感覚が自然に身につきます。

小学校4年生以上で中高一貫校を受検を目指すレベル。

 関連記事