新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

景表法で問われる打ち消し表示のポイント

景品表示法と打ち消し表示

クーポンや広告の特典に引かれて利用を決めたのに思いがけない利用条件に驚く。たとえば、「パソコン特別セット5,480円」の格安をうたう広告があるとします。消費者は、こんなに安いのなら購入したいと考えるでしょう。

しかし、小さな文字で、但し書きが。「※別途、回線契約が必要です」などです。冷静に計算してみると、パソコンは安くても、月々の回線料まで含めると、けっして安くない。こんな宣伝や広告はよくあります。

 

強調表示と打ち消し表示とは?

広告では、消費意欲を喚起する部分、例では「パソコン特別セット5,480円」を強調表示といい、但し書き部分の「※別途、回線契約が必要です」を打ち消し表示といいます。

打ち消し表示は、強調表示の例外を示した部分です。強調表示と打ち消し表示の関係は、強調表示の訴求内容が商品・サービスの実際を反映していることが原則です。打ち消し表示は、強調表示だけでは消費者が認識できない例外条件、制約条件等がある場合に例外的に使用されるべきものです。

 

POINT
強調表示と打ち消し表示とが矛盾するような場合は、消費者の誤認を招き、景品表示法上の問題となるおそれがあります。これらは優良誤認、有利誤認と呼ばれるものです。

 

景表法の「優良誤認」「有利誤認」とは?

  • 優良誤認とは、実際よりも著しく優良だと消費者に誤認させる表示
  • 有利誤認とは、契約条件が実際よりも有利であると消費者に誤認させる表示

打ち消し表示に対して消費者は、あまり意識を向けていないことが実態調査で明らかになっています。次の項目の表は、注意書きや注釈を普段どれくらい意識しているかを媒体別に質問した結果です。

 

打ち消し表示に対する消費者の認識

Webのアンケート調査で、注意書きや注釈(打ち消し表示)を「見ない(読まない)」と回答した者の割合は次のとおりです。

 

媒体 回答率
新聞 58.9%
動画広告 67.4%
同一画面内にある表示 Web広告(PC) 57.1%
Web広告(スマートフォン) 70.0%
強調表示からスクロールが必要な場所にある表示 Web広告(PC) 64.6%
Web広告(スマートフォン) 75.1%

 

実に、6割~7割の消費者が「打消し表示をみない」と回答しています。

広告を作る側は、この消費者の認識を理解し、「打ち消し表示」をつけなくても済むような表現をするのが原則となります。

また、やむを得ず打ち消し表示を使う場合は、消費者の目に留まりやすく表示することを消費者庁は呼びかけています。

 

 

但し書きや注意書きを読まない人が大半。打ち消し表示をできるだけ使わない表現にすること。どうしても使う場合は、消費者の目に留まりやすい表示にすることが大切です。

 

 

 

打ち消し表示を読まない理由とは?

  • 主要なメッセージだけ見れば十分と思うから
  • 文字が小さくて読みにくいから
  • 文字を読むのが面倒だから
  • 表示されている時間が短くて読み切れないから

 

強調表示と打ち消し表示の型

打ち消し表示は、7つのパターンに分類できます。ここで、強調表示と打ち消し表示の代表的なパターンを表で確認しておきましょう。普段目にする広告や宣伝でも、打ち消し表示は多数使われています。

 

分類名 強調表示例 打ち消し表示例
例外型 入院、手術、通院の保障が一生涯続いて安心。何回でも受取OK! 医療行為、医療機関及び適応症などによっては給付対象とならないことがあります
体験談型 毎日すっきり起きて体重が5kg減り、着られなかった服がぶかぶかになり周りからほめられました 個人の感想であり効果には個人差があります
別条件型 次世代モバイル!通話もネットも月額2340円(税抜き) ○○のインターネット契約が3年間必要です
非保証型 10年間効果が持続!! 結果には個人差があります
変更可能性型 印刷パック料金(用紙、印刷、梱包料込み)3000円(税抜き) 価格、内容は予告なく変更する可能性があります
追加料金型 毎月780円! 別途、初期費用がかかります
試験条件型 ●GBの高速通信を実現! ご利用の対応機器が●●規格対応の場合です

 

 

打ち消し表示は、例外型、体験談型、別条件型、非保証型、変更可能型、追加料金型、試験条件型の7つが代表的です。

条件を制限する打ち消し表示は、小さな文字で添えられるケースが多いようです。しかし、消費者は強調表示だけを見て、商品・サービスすべてについて、無条件、無制約にあてはまると受け止めます。

これらの打ち消し表示を使う場合には、消費者に内容が適切に伝わる表現を強く意識しましょう。

 

 

 

景表法上で問題となる表示と改善法

強調表示や打ち消し表示では、どのような表示方法が景品表示法上の問題となるのでしょうか。すべての媒体に共通して問題となる表示方法を4つ挙げます。

この4つの表示方法が適切であれば、広告表現として概ね問題ないと考えます。

 

打ち消し表示の文字の大きさ

消費者が、打ち消し表示を見落としてしまうほど文字が小さい場合は問題となります。新聞広告では、打ち消し表示は最低8pt以上の文字を用いることが推奨されています。打ち消し表示は、大きく表示することが大切です。

 

強調表示と打ち消し表示の文字の大きさのバランス

強調表示が大きな文字で表示されているのに対して、打ち消し表示が表示が小さな文字で表示されており、強調表示を見た消費者が、この強調表示に対する打ち消し表示だと気づくことができない場合は問題です。

強調表示と打ち消し表示の文字の大きさの差を極端につけないこと。

 

打ち消し表示の配置箇所

打ち消し表示が強調表示から離れた場所に表示されていて、消費者が打消し表示に気づかなかったり、打ち消し表示に気づいたとしても、この打消し表示が離れた場所に表示された強調表示に対するものだと認識できない場合は問題になるおそれがあります。

強調表示と打ち消し表示は、できるだけ近くに配置しましょう。

 

打ち消し表示と背景の区別

打ち消し表示の背景が無地の単色ではなく、複数の色彩が入り組んでいて、打ち消し表示の文字と背景との区別がつきにくい場合は、問題となるおそれがあります。

打ち消し表示の背景は無地またはそれに準ずるもので見やすく表示しましょう。

 

まとめ

以上、広告表現で用いる強調表示と打ち消し表示についてご説明しました。

ポイントは、消費者は、強調表示の内容を制限する打ち消し表示をほとんど読まないと理解し、その上で、わかりやすい適切な表現を用いることです。

原則、打ち消し表示は用いないのが望ましいものです。どうしても打ち消し表示が必要な場合は、下記の4点に留意します。

  • 打ち消し表示は大きく表示する
  • 強調表示と打ち消し表示の大きさの差を極端にしない
  • 打ち消し表示は強調表示のすぐ近くに配置する
  • 打ち消し表示の背景は無地の単色を用い見やすくする

これらは、景品表示上の優良誤認、有利誤認を避けることにもつながります。

 

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