夏休みの宿題といえば読書感想文。
本を1冊読み、感想を原稿用紙に何枚も書く。読書や作文の苦手なお子さんには、苦しい宿題ですよね。
本嫌いの子供が、やっつけで書いた感想文は「思いました」や「面白かった」ばかりで、先生からの評価も上がりません。
でも、安心してください。
読書感想文にはコツがあります。正しく本を選んで、ちょっとした書き方のコツを知るだけで出来上がりが見違えるほど良くなります。この記事では
- 本の選び方や原稿用紙の使い方
- よくある残念な題名
- 書き出しや文末の上手な表現
こうした内容に触れています。
小学3年生のわが子に、ここに書いたコツを教えて感想文を書かせたところ「スラスラ文章が書けて、先生に褒められた!」と大喜びでした。
先生に「うまい!」と思われる、読書感想文を書くコツを8つに絞って解説しています。ぜひ参考にしてくださいね。
読書感想文の書き方8つのコツ
適切な本を選んでいるか
読書感想文の成功は、本選びで9割が決まります。学年と現在の読解力に応じた本を選ぶことが読書感想文で失敗しないコツです。
学年が上がると書かなければならない原稿用紙の枚数は増えていきます。
適切な本を選ばないと十分に考えを深めることができず、原稿用紙を埋めるのに苦労をします。短い本は読みやすい反面、行間を読み取って感想を書く難しさがあります。
本選びの参考になるのは、全国学校図書館協議会の過去の課題図書です。学年別にどんな本が選ばれているのか確認して本選びの参考にしてください。
原稿用紙の使い方や学校の規定は守っているか
課題が原稿用紙400字詰め3枚ならば1200文字。すべてのマスは埋められないにしても8割以上のマス目は埋めましょう。この場合は最低2枚半以上を書きます。
意外と守られていないのが「原稿用紙の使い方」です。原稿用紙の使い方を確認しておきましょう。
なお、感想文を書くときは学校で習った漢字はきちんと使いましょう。書くことが思いつかず、マス目を埋めるために「ひらがな」ばかりで書くことのないように。
題名は読みたくなるか
読書感想文の題名は自由につけて良いことになっています。読み手の目を引く、本文を読みたくなる題名をつけましょう。いちばんもったいないのが「○○を読んで」と、本の題名を書くこと。
たとえば、太宰治の「走れメロス」で読書感想文を書くなら「正気か、センヌリウス!」くらいのインパクトのある題名をつけても大丈夫。
本の題名を書かないと心配な場合は、副題で―「走れメロス」を読んで―と添えれば良いでしょう。
書き出しは独創的か
文章は書き出しが命。ここで読み手の関心を引けるかどうかが、感想文のデキの印象を左右します。1行目を「私は」「ぼくは」ではじめないだけで、ほかの生徒と差をつけることができます。
書き出しのコツ2つ
- 印象に残った言葉を引用して書き出す
- 本を読んで感じた疑問から書き出す
前者は「なぜその言葉が印象に残ったのか」あるいは、その言葉を読んだとき「自分はどう感じたか」の理由を書くことで文章を展開していきます。
後者は、走れメロスなら「なぜ親友を身代りにしたのか?」とか「センヌリウスは、なぜメロスの邪魔をしなかったのか?」など、素朴な「なぜ?」から文章を展開します。
魅力的な書き出し方は、下の記事も参考にしてください。
あらすじ主体ではないか
読書感想文は「感想」を書くものです。あらすじは最低限にしましょう。いつ、どこで、誰が、何を、どうして、どうなったか。5W1Hを用いて必要に応じて数行でまとめましょう。
あらすじが長くなるのは、文章の読み込みが足らず十分にマス目を埋める材料が準備できていないとき、あるいは、自分の読んだ本の内容を、読書感想文の「読み手は知らない」という前提で説明するときではないでしょうか。
読書感想文は、読んだ人がその本に興味を持つように書くのが基本。あらすじは、映画の予告編のようにダイジェストで伝えましょう。
よくある失敗が、あらすじを書いて短い感想、またあらすじがあって短い感想が続く書き方。俗に「雨だれ型感想文」といいます。あくまでも自分がどう思ったのか、感想を中心に書くことが大切です。
文末に「おもしろかった」「思います」の感想を連発していないか
単調な「おもしろかった」「思います」の連用は、文章を稚拙に見せます。気持ちを表す言葉と感想や意見を表す言葉の種類を増やして適切なものに書き換えましょう。
文末表現に幅ができると、それだけで読書感想文が上手く見えます。
気持ちを表す文末表現(例) | |||
---|---|---|---|
おかしい | 不思議だ | うれしい | 悲しい |
なるほど | 面白い | はらはらした | ドキッとした |
許せない | ホッとした | ワクワクした | 頭にきた |
感想・意見を表す文末表現(例) | |||
思った | だろう | かもしれない | 気がする |
感じる | 考えられる | ではないか | ちがいない |
ありえない |
「そう感じた」理由は?
マス目の埋まらない、書くことがすぐに尽きる読書感想文の典型が、「○○がおもしろかったです」と気持ちを書いて、次のあらすじに移るもの。
読み手が知りたいのは「どうして、その部分がおもしろいと感じたのか」という具体的な説明です。
おもしろい、かなしい、うれしいなど、心が動いたとき、人は自分の過去の体験や知識と照らし合わせているものです。無意識のうちに登場人物の生き方や考え方を自分と比べて共感したり、反発したりしているのです。
自然にわきあがった気持ちを「こう感じたのには理由があるはずだ」と観察や推理をして、言葉で説明するのが読書感想文です。理由を説明する過程で、書き手の個性、根本思想、考え方が読み手に伝わります。
読書感想文は、本の感想を伝えることで、自分を表現し伝えるものなのです。
読後の変化が書いてあるか
読書の目的のひとつに、読み手の成長と変化があげられます。読む前と読んだ後で、意識がどうかわったのか。どのような気づきが得られたのか。これからの毎日に意識の変化や気づきをどう生かすのか。これが読書感想文の最後に書いてあるかどうかで、感想文の価値がまるで変ります。
読書感想文の締めは、読書で得られた意識と行動の変化を中心にまとめましょう。
まとめ
- 適切な本を選んでいるか
- 原稿用紙の使い方や学校の規定は守っているか
- 題名は読みたくなるか
- 書き出しは独創的か
- あらすじ主体ではないか
- 文末に「おもしろかった」「思います」を連発してないか
- 「そう感じた」理由が書いてあるか
- 読後の変化が書いてあるか
以上、先生に「うまい!」と思われる読書感想文の書き方8つのコツでした。参考にしてくださいね。
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