新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

無心とは? - 初心忘れるべからず

無心で絵を描く子供

あなたは「無心」という言葉にどんな印象を持っていますか?

落ち着いて何事にも動じない、そんなイメージかもしれませんね。しかし、実際の無心は、少し様子が違うようです。

無心の正体に迫るこんな実験があります。

修行を積んだ僧侶と、一般の人に座禅をしてもらい脳波を調べたそうです。座禅をしている間、5分に1度ベルを鳴らしました。

彼らの脳波にいったいどんな違いがあらわれたでしょうか。

きっとあなたは「僧侶の脳波は、ほとんど乱れない」と予想したのでは?

残念ながら違います。
意外ですが、僧侶も一般人もベルが鳴れば、同じように脳波は乱れました。では、二人の違いはどこに!?

実は、2回目、3回目…とベルの回数が進んだときに違いがあらわれました。

なんと、一般人の脳波は、回を重ねると乱れなくなったのです。一般人は「ベルがまた鳴るだろう…」と予想して身構えるので慣れてしまったのです。一方で、僧侶の脳波は、いつまでも同じように乱れました。

ここに無心の秘密が隠れています。

人間の脳や心は、体験を記憶し、未来を予測します。物事の見通しを立てて備えています。これが先入観となって、私たちの可能性を奪っていきます。

誰もが、はじめての体験には、驚きと感動を覚えますが、同じ体験を繰り返すとしだいに動じなくなります。これは、体験を重ねて「鈍くなった」といえます。

ところが、私たちは、慣れて鈍くなったことを「上達した」と錯覚しがちです。しかし慣れによる上達の幅はわずかで、すぐに頭打ちになります。

継続的な上達には、高い感受性と実行力が不可欠です。

それには、常に感覚を研ぎすまし、瞬間瞬間に自分をリセットする必要があります。人は、何事にも慣れます。あえて「慣れない」ことが、修行なのです。

芸術家は、常に「新しさ」を求めます。新しさは、未知だけでなく、日常の慣れ親しんだ既知から何を見るか、という感受性によっても生じます。

ことわざの「初心忘るべからず」は、無心の効用を教えているようにも見えますね。