新聞広告には掲載基準があります。定められた掲載基準に則って広告を作らないと掲載できません。
先日、あるクライアントの広告で「クーポンを入れたい」という要望があったのですが、掲載までかなり苦労しました。クーポンの内容は、 3600円(税込)の鮎会席を注文した方にクーポン持参で「ドリンク1杯無料」というものです。
よく見るフリーペーパーでは、このまま書けば問題なのですが、新聞の場合は広告掲載基準に違反するのです。中日新聞のクーポン広告の掲載基準を紹介します。
クーポン広告の掲載基準
クーポン広告とは、広告主が商品やサービスの割引などを、使用を求めてきた人に約束する券類を表示したものであり、 クーポン部分を切り取って使用するものである。本社の事前審査を必要とする。
- 「独占禁止法」「景品表示法」を順守する。また、業界ごとに「公正競争規約」がある場合は同時にその要件を充たすこと。
- クーポンの内容は割引券、資料請求券、見本等請求券(サンプル引換券)に限る。
- 商品引換券、無料サービス券、プレゼント券、招待券、抽選券のクーポンは掲載できない。
掲載にあたり次の項目を表示する。
- 広告主名、または実施店舗および住所
- 対象商品またはサービスの内容
- もともとの金額と、割引の額または割引の率
- 対象商品・サービスの制限などの重要事項
- 広告有効期限
切り取って使用できることがわかるようにする。
広告審査でどこが違反するの?
ドリンク無料券は、掲載基準の「公正競争規約」と2番・3番に違反します。
公正競争規約とは、景品表示法第31条の規定により、公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受けて、 事業者又は事業者団体が表示又は景品類に関する事項について自主的に設定する業界のルール。
広告整理部に提出した審査原稿では、ドリンク無料という表現が違反ということで掲載不可となりました。
ドリンク1円券はOKだが
そこで表現を変更して、再度審査に提出するのですが、本来の意味を変えずに掲載基準をクリアするのに 苦労しました。
たとえば、ドリンク1円券は掲載できますが、クライアントは、会計が煩雑になるので あくまでも「無料サービス」にして欲しい、という注文です。
どう表現すれば広告掲載基準を通過するか、という答えは、広告を審査する部門は教えてくれません。 しかし手はあるはずです。あなたならどのような表現をしますか?
答えは「餃子の王将」にありました!
実はなかなか妙案が思い浮かばずに困っていたのですが、中日新聞に掲載されている「餃子の王将」の 広告に突破口を見つけました。
何と「○○ご注文の方、餃子1皿ご試食券」がついていたのです。コレって実質無料で 1皿餃子をもらえるってことだよね。無料は不可だけど、サンプル提供の解釈で、お試し券はクリア。
抜け道は、審査では教えてくれないので、代理店が調べるしかないのです。
ドリンク試飲券で再審査に通過
餃子の王将を参考に、「ドリンク試飲券」に変更して審査に再提出しました。ただし書きに、鮎会席ご注文の方、ドリンク1杯試飲できます、と書いて。 PDFの原稿案を送信してから約3時間後、「原稿内容問題なし」との回答。
なんだかGoogleアドセンスの審査に合格したときより、うれしい。
言葉遊びに意味があるの?
私としては、掲載可能な原稿ができてやれやれの心境です。でも本音をいうと、こうした言葉遊びのような審査に何の意味があるのだろうと思います。
無料提供するものは「無料」とストレートに表現した方が、消費者にもわかりやすい。まわりくどい表現は、 クーポンの利用率にも影響するはずです。このあたりどう考えているのでしょうか。
ということで新聞広告に商品無料券をつける場合は「お試し券」を検討すべし。