ケンカをして頭に血がのぼっても決して口にしてはいけない言葉があります。「言っていいことと悪いこと」の一線を超えないのは人間関係の維持に不可欠のスキルです。
この記事では「言っていいこと悪いこと」の区別について考察します。
言ってはいけないことを知る
言っていいこと悪いことの区別には「言ってはいけないこと」を知るのが第一。
言ってはいけないことを理解し、それさえ口にしなければ、たとえ言い争いになったとしても関係の修復は可能です。
では、どのようなことは言ってはいけないのでしょうか。
関係を致命的に破壊する内容
繰り返しになりますが、言ってはいけないことは、その言葉を口にすることで関係が致命的に壊れてしまう内容です。
言い換えれば、相手が見過ごしたり許したりできない発言です。具体的には、次にあげる5つがあります。
相手が努力で変えられないこと
肉体的な特徴や疾患、生まれた地域や親族、過去など、相手が努力で変えられないことを口にして責めるのは慎みましょう。
結局、変えられないものは受け入れるしかありません。
変えられないものを責めることは相手を拒絶する明確な意思表示となります。
相手が劣等感を感じていること
相手が、コンプレックスに感じていることを口にしてはいけません。
図星であればあるほど、相手の怒りは大きくなります。本人が普段から恥じていることを批判するのは避けましょう。
相手の夢や信条を否定すること
夢や信条の否定は、相手の価値観を拒絶する行為です。
公序良俗に反するものでない限り、相手が何を夢見て何を信じようが自由です。それを否定する権利はありません。
人前で恥をかかせる発言
内容は同じでも、発する場面によって、関係を致命的に壊すことがあります。
たとえば、人前で罵倒したり、恥をかかせたりすること。特に、相手が男性の場合、面子を潰すようなことは避けましょう。
完全な正論
正論は、正しければ正しいほど相手を追い詰めることになります。
人間は、感情の動物ですから、論理の正しさだけでは関係性を維持できません。相手を屈服させて得るものはありません。
裁判のように争う意思がないのであれば、正論を振りかざすのは控えましょう。
事実を正直に言う必要はない
「自分は正直で嘘がつけない」
「思ったことを口にしてしまう」
こうした性分から、相手とのトラブルが絶えない人がいます。
トラブルには困惑しながらも、内心では「正直に事実を言った」のだから仕方がないと開き直っている人もいます。
「きょうは顔色がいいね。この前、来たときはドス黒かったものね」
職場の同僚の女性が、入院中の相手に口にした言葉です。一瞬、全員が氷つきました。
相手の気持ちを慮り、事実をあえて口にしないのは、嘘ではありません。この場合は、「顔色がいいね!」に留めておけばいいのです。
事実を知ったうえで、どう表現するか。そこに発言者の知性があらわれます。
切り取られても大丈夫な言葉を使う
言葉は伝播するたびに、歪曲されたり、切り取られたりします。
文章全体では、問題のない言葉も歪曲されたり、切り取られて伝わると、本意とは異なる誤解を生じます。
この誤解を避けるには
- 単語単位で不適切なものを使わない
- シンプルな発言を心がける
桜田五輪大臣の失言も「がっかりしている」「下火にならないか心配だ」の言葉の選択に甘さがありました。
昨今は、読解力に乏しい人も増えています。全体を通して文意を伝えるのではなく、一文一義で短く伝えると誤解を生じません。
まとめ
以上、言っていいこと悪いことの区別について書きました。
ここでは割愛していますが、暴言、虚偽、秘密事項、公序良俗に反する発言は、当然禁じられるべきものです。
最後に、言っていいことか悪いことがわからない場合は、「言わない」方がよいでしょう。口にした言葉は撤回できませんから。