この記事では求人広告を作るときに必要な要項について説明します。
正しく募集要項を掲載することは応募者に信頼を与え、結果として優秀な人材の採用に直結します。
また求人広告では、法規制されている表現もあります。これは記事後半「人権・就業差別および男女・年齢について」で解説します。
求人広告│募集要項の書き方
まずは求人広告を書く際に外すことのできない必須項目を確認しましょう。全部で13項目あります。
求人広告に必須の募集要項13項目 | |
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①募集事業主 | ②事業主所在地 |
③雇用形態 | ④雇用期間 |
⑤就業場所 | ⑥勤務時間 |
⑦休日 | ⑧給与 |
⑨待遇 | ⑩募集主事業内容 |
⑪募集職種名称 | ⑫仕事内容 |
⑬応募方法 |
この13項目の表記がされていない求人広告は、応募希望者からの信用を獲得できず結果として反応がないものになります。
また、媒体社は、必須項目が網羅されていない求人広告を取り扱いません。この記事では、やや厳しく掲載必須項目をまとめています。
この内容をクリアするものであれば、ほぼどの媒体に求人広告を出しても問題なく掲載されるでしょう。
①募集主名称
求人企業・事業主の正式名称(社名等の商号登記)の掲載が必須です。
グループ名称のみでの記載は掲載できません。例えば、本社以外で募集する場合は、事業所または支店等を併記します。
就労継続支援事業所の場合は、事業者番号を掲載する必要があります。
②事業主所在地(住所)
募集事業所の住所表示をします。同県内の募集は、市町村名から表示、県外にも募集が及ぶ場合は県名から表示します。
ビル名等の表示は自由ですが、記載した方が親切でしょう。
③雇用形態
正社員・パート・アルバイト・契約社員・派遣社員・紹介予定派遣・業務委託・独立(FCオーナー)などすべての雇用形態を明記します。
[正][ア][パ][派]などの省略表記を用いることもあります。
また、雇用形態に整合する形で、一般労働派遣業、特定労働派遣業、有料職業紹介業、紹介予定派遣の派遣番号は必須です。
④雇用期間
期間がある場合は必ず記載が必要です。
⑤就業場所
応募者が実際に就業する場所の名称と住所を明記します。
⑥勤務時間
原則は24時間表記をします。ただし日をまたがない場合、AM・PM(午前・午後)をつけた12時間表記もOK。
「残業必須」や「残業できる方」と限定して募集することはできません。この場合は「残業できる方歓迎」「残業有」の表現に留めます。
時間外勤務が恒常的にある場合は、時間外勤務の有無や状況がわかるように表示します。
勤務時間は「詳細面談にて」のみの表現は原則掲載不可。下記例のように概要だけでも表示しましょう。
⑦休日(勤務日)
「祭日」「祝祭日」表記は「祝日」で統一して表記します。「土・日・祝」等の省略表記も使えます。
「シフト制」「詳細面談にて」のみの表示もできます。勤務日、休日についてはどちらかが明記してあれば一方のみの表記で可。
ただし「週2日~OK」などの文言は、休日にあたるのか勤務にあたるのかわかるように表示してください。
⑧給与
最低の固定給(月給・時給)を明記します。「当社規定」や「詳細面談にて」のみの表記は不可です。
月収例は内訳表記をします。誇大広告扱いになるような月収例を書かないこと。
また試用期間中に給与が異なる場合は、その期間と給与も明記します。
時給は、最低時給以下で募集することはできません。
⑨待遇
社会保険、昇給賞与、報奨金制度、交通費などの待遇を記載します。
交通費は、単に「交通費支給」と表記するのではなく金額等詳細を入れるのが望ましいです。それができない場合は「交通費規定支給」「交通費全額支給」などと表記します。
⑩募集主事業内容
募集内容は社名の上などに小さくてもいいので必ず入れましょう。ただし事業主名称や職種でわかる場合は省略できます。
ラブホテルはビジネスホテル等と区別するため、その旨がわかるように表記します。この場合、レジャーホテル、ファッションホテル、ブティックホテルでも可。
風営法(会社名必要)と旅館業法(ホテル名)での登録に合わせた表記にすること。
⑪募集職種名称
職種名称は入れることが望ましいが、募集主名や募集主事業内容表記で仕事内容がわかる場合は省略できます。
たとえば、募集主名や募集主事業内容で介護施設とわかる場合は、「スタッフ募集」「パート募集」で構いません。
⑫仕事内容
資格名や職種名称等でわかる場合は省略できます。ただし資格名から通常想定される範囲外の仕事がある場合は記載が必要です。
また職種が「軽作業スタッフ」のみの場合など、仕事内容がわからない場合は詳細を記載してください。
⑬応募方法
具体的な応募方法を明記します。
履歴書(写真貼)郵送、Webサイトからの受付の場合でも、広告に電話番号(固定)を表記します。
人権・就業差別および男女・年齢について
出生地・居住地等
地域・地区・地名を限定した表記はできない
地域・地区・地名を限定しない「歓迎」表記であれば掲載できます。
掲載可能例
- お近くにお住いの方歓迎
- 地元の方歓迎
交通手段に関して限定した表現はできない
徒歩・自転車・自動車のいかなる交通手段も限定した表記はできません。
NG表現・OK表現の代表例
NG表現 | OK表現 |
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徒歩で通勤できる方 | 車で通勤できる方歓迎 |
徒歩で通勤できる方歓迎 | 通勤可能な方 |
条件:車で通勤できる方 | 通勤手段を確保できる方 |
なお、徒歩は居住地制限になる場合があるため歓迎表記も不可です。
性格等について
下記の枠内の例のように応募者の特性や性格に関わる表現はできません。
ただし、仕事への取り組み方や職場の雰囲気としての表記はできます。代表的な書き換え表現を示します。
明るい(元気な)人が欲しい
- 明るく接客できる方
- 笑顔で対応できる方
- 明るい方が活躍している職場です
- 明るい対応が求められるお仕事です
体力のある人が欲しい
- 重いものを運ぶお仕事です
- ~を持ち上げ移動させるお仕事です
- 体を使ってお仕事したい方歓迎
- 体を動かすことが好きな方
やるき・意欲・責任感のある人が欲しい
- やる気をもって仕事に取り組める方
- あなたの「やる気」活かしませんか
精神力が強い人が欲しい
- バイタリティあふれる方歓迎
視力が良い人が欲しい
- 細かい商品を扱うお仕事です
健康な人が欲しい
- 元気に明るく働ける方歓迎
- 健康管理ができる方歓迎
男女別での募集
男女雇用機会均等法を遵守し「男性のみ」「女性のみ」の募集はできません。
法の適用除外となる男子または女子のみの募集は除きます。媒体によっては、その旨を記した文書の提出が必要です。
年齢について
H19.10.1から年齢制限を設けることができなくなりました。ただし以下のような合理的な理由がある場合は除きます。
年齢制限の適応除外になる例
- 年齢制限の上限が定年と同じで期間の定めのない労働契約の場合
- 警備業務など、労働基準法が特定の年齢層の雇用を禁じている場合
- 経験不問で、新卒者と同じ待遇で期間の定めのない労働契約として採用する場合
- 高齢者の雇用を進めるため60歳以上を採用する場合
- 社内のいびつな年齢構成を是正する目的で、期間の定めのない労働契約の場合*1
- 子役など、芸能・芸術分野で採用する場合
まとめ
以上、求人広告制作の際に不可欠の「掲載必須項目」と注意すべき規制表現について説明しました。
求人広告では、応募者に正確に募集条件を伝え、法令を遵守することが大切です。
優秀な人材ほど、募集企業の規模だけでなく求人広告から垣間見える企業の姿勢を判断して応募するか否かを決定します。
求人広告は、必要な要項が書かれているか、法に違反していないかを確認してください。
*1:30歳~49歳のうち特定の5~10歳幅であって、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者が1/2以下