新聞記事では「漢字」の使用にルールがあります。 多くの人に読んでもらうために、新聞では読みの難しい漢字は使われません。
この記事では、どのような基準で新聞に「漢字」が使われるのかを、解説します。
新聞は常用漢字を使うのがルール
新聞は原則「常用漢字(じょうようかんじ)」を用いて書きます。常用漢字とは、日常で文字を書き表すために選ばれた漢字のことをいいます。
2010年11月30日に改定された「常用漢字表」2136字を確認することができます。
通常、新聞記事を書くときはこの常用漢字を用いて書きます。地名・人名等の固有名詞を伝えるときに常用漢字表以外の漢字を使う場合は、 はじめて記載するときに漢字に読み仮名(ルビ)を書いておきます。
下のサイトは、記事が常用漢字で書かれているか否かをチェックするのに便利です。
常用漢字を使わない例外
新聞では原則常用漢字を用いますが、芸能人の名前を表記するときは、この原則から外れます。 たとえば、女優の「長澤まさみ」さんの「澤」は常用漢字外ですが、芸能人なのでそのまま「長澤」と表記します。
一方、同じ有名人でもサッカー選手の「澤穂希(さわほまれ)」さんは芸能人ではありませんので、 「沢穂希」と表記します。これが新聞表記のルールです。少し違和感がありますよね。
数字は洋数字が主流│例外は?
実際の新聞では、数字を表記する際に、洋数字を使うのが主流になっています。かつては「平成三十年」と記載したものも、現在では「平成30年」と記載するのが一般的です。つまり、縦書きの数字表示でも漢数字を使うことは少ないのです。
例外は「桁(けた)」の大きな数字を表すときです。たとえば「150000000」は、1億5000万と表示します。
ほかにも「四面楚歌」「一石二鳥」などの四字熟語、「一宮市」「四万十川」「鈴木一郎」など地名や固有名詞は漢数字を用います。
漢字を使った略称
新聞では、限られたスペースでたくさんの情報を伝えるために略語を用います。 略語とは「ある語の一部を何らかの方法で省略または簡略した形で、なお元の意味を保っているもの」をいいます。
国名や地名、機関(団体)名など、広く知られている固有名詞を略語にして伝えることが多いようです。
国名・地名を漢字1文字で表現する
国や地名を漢字で略す例をあげます。
イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、アメリカ、中国は、それぞれ英、伊、独、仏、米、中と表記します。
また日本と韓国を同時にあらわすときは「日韓」と書きます。
機関名・団体名は略称をあらわす
機関名や団体名も略称で表します。略称の方が一般的になっているものも少なくありません。 代表的なものをいくつかあげます。
団体名 | 略称 |
---|---|
日本教職員組合 | 日教組 |
経済団体連合会 | 経団連 |
自由民主党 | 自民 |
厚生労働省 | 厚労省 |
公正取引委員会 | 公取委 |
日本医師会 | 日医 |
○○市教育委員会 | 市教委 |
これらの言葉は、新聞記事のはじめに正式名称を表示し、2回目以降を略称で記します。
まとめ
以上、新聞に用いられる「漢字」「略称」について解説しました。
ポイントは次の3つです。
- 常用漢字を用いる
- 数字は四字熟語や地名、名前で漢数字を使う
- 国名や団体名は漢字を組み合わせた略字で書く
誰にでも読みやすく、意味を損なわないこと。これが常用漢字を使う基準です。 また限られた記事のスペースに情報量を詰め込む工夫で漢字を組み合わせた略称を使うのです。