求人広告は、最低賃金を超えた額で募集をしなければなりません。
最低賃金は毎年改定され、改定された新たな最低賃金は、9月末から10月中旬にかけて順次適用されます。
この記事では、2018年度改定(平成30年10月1日~適用*1)の最低賃金とよくある最低賃金についての誤解について解説します。
最低賃金とは?
正式には最低賃金制度。最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、 使用者はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
これはパート労働者らを含むすべての働く人に企業が支払う賃金の最下限といえます。
2018年度 都道府県別の最低賃金
平成30年10月から適用される最低賃金を都道府県ごとにまとめました。
10月以降の求人広告は、この最低賃金以上の額で募集する必要があります。表の引き上げ額は2017年(平成29年度)に対する2018年度の引き上げ額です。
都道府県 | 最低賃金(時給) | 引き上げ額 |
---|---|---|
北海道 | 835 | 25 |
青森 | 762 | 24 |
岩手 | 762 | 24 |
宮城 | 798 | 24 |
秋田 | 762 | 26 |
山形 | 763 | 24 |
福島 | 772 | 24 |
茨城 | 822 | 26 |
栃木 | 826 | 26 |
群馬 | 809 | 26 |
埼玉 | 898 | 27 |
千葉 | 895 | 27 |
東京 | 985 | 27 |
神奈川 | 983 | 27 |
新潟 | 803 | 25 |
富山 | 821 | 26 |
石川 | 806 | 25 |
福井 | 803 | 25 |
山梨 | 810 | 26 |
長野 | 821 | 26 |
岐阜 | 825 | 25 |
静岡 | 858 | 26 |
愛知 | 898 | 27 |
三重 | 846 | 26 |
滋賀 | 839 | 26 |
京都 | 882 | 26 |
大阪 | 936 | 27 |
兵庫 | 871 | 27 |
奈良 | 811 | 25 |
和歌山 | 803 | 26 |
鳥取 | 762 | 24 |
島根 | 764 | 24 |
岡山 | 807 | 26 |
広島 | 844 | 26 |
山口 | 802 | 25 |
徳島 | 766 | 26 |
香川 | 792 | 26 |
愛媛 | 764 | 25 |
高知 | 762 | 25 |
福岡 | 814 | 25 |
佐賀 | 762 | 25 |
長崎 | 762 | 25 |
熊本 | 762 | 25 |
大分 | 762 | 25 |
宮崎 | 762 | 25 |
鹿児島 | 761 | 24 |
沖縄 | 762 | 25 |
改定最低賃金の適用時期は、2018年10月1日が大半ですが、一部の県で適用時期が異なります。 最低賃金に関する厚労省の特設サイトもご確認ください。
最低賃金は全国平均874円 18年度改定
改定後の最高額は、東京都の985円。最低額は鹿児島県で761円。 最高額と最低額の差額は224円に広がりました。
2018年度改定の最低賃金の全国平均は874円です。
- 最高額 985円
- 最低額 761円
- 全国平均 874円
最低賃金のよくある誤解
最低賃金制度についてよくある誤解について2点解説します。試用期間(研修期間)中の最低賃金と手当を含んだ最低賃金についてです。
試用(研修)期間中の最低賃金
試用期間であっても最低賃金以上を払うのが原則です。しかし次の5項目のいずれかに該当する場合、 事前の申請で最低賃金の減額特例があります。
最低賃金の減額特例
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
- 試の使用期間中の方
- 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
- 軽易な業務に従事する方
- 断続的労働に従事する方
最低賃金の減額の特例許可を受けるには、最低賃金の減額の特例許可申請書(所定様式)2通を作成し、 所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出する必要があります。
減額の特例許可申請を取っていない使用者は、試用期間でも勝手に最低賃金未満に賃金を下げることはできないということですね。
手当て込みで最低賃金を超える場合
よく手当て込みで最低賃金の条件をクリアするから良い、という使用者がいますが、 これも最低賃金に含んで良い手当てか否かという問題があります。
最低賃金に含んで良い手当ては、毎月支払われる基本的な賃金です。
最低賃金に含まれない手当て
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
時間外割増賃金(例えば残業代)を含めて最低賃金を超えても、最低賃金はクリアしているとはいえません。毎月支払われる基本的な賃金ではないからです。
まとめ
2018年度の各都道府県の最低賃金とよくある最低賃金の誤解を2つご説明しました。
- 毎年10月に最低賃金が改定されること
- 最低賃金の誤解
- 試用期間と最低賃金の関係
- 最低賃金と手当ての関係
使用者も労働者も正しく理解しておきましょう。
*1:都道府県により一部異なります