女性の部下を預かる男性上司の中には、遠慮して女性を正しく指導できない人が少なくありません。 ときには叱る必要のあるときもあります。しかし、どのように叱るかは男性にとって頭の痛い問題です。
正しい叱り方をしないと女性は「会社を辞める」と言い出します。 逆に、そうした極端な反応を恐れて叱らないと今度は「ちゃんと言ってください」などという批判を受けます。
男性が叱る必要を感じていても叱れないのは、防衛機制の「抑圧」といわれるものです。 自分の利益を考えて、心の奥底に感情を閉じ込めてしまうのです。
問題なのは、叱ることではなく、叱り方です。 このエントリでは、女性の部下をどのように叱り、指導すべきなのか、その言い方について考えてみます。
感情的に叱らない
まず最初に意識すべきことがあります。それは感情的に叱らないことです。
人は感情的に叱られると防衛反応から相手を否定するようになります。 「上司は保身のために怒っている」「責任を転嫁している」と思い込むようになるのです。
女性は、他人の視線を強く意識する性質があります。他の社員の前で、声を荒げるようなことは避けるべきです。
「だからあなたはダメだ」「なぜこんな資料しか作れないのか」「考えればわかるだろう」などど、 相手の能力や人格を否定してはいけません。あくまでも、ミスを正すことに焦点を合わせて指導しましょう。
女性の部下を叱る4つのステップ
女性を叱るときは、感情的にならず、他のスタッフの視線から守る意味で、 席を変えるなどの配慮をしましょう。その上で次の4つのステップで指導します。
- ミスの原因を提示する
- そのミスによる影響を説明する
- 自分の感情を伝える
- 期待していることを伝える
ここでは、資料の仕上がりに問題がある例で考えてみましょう。
この場合、最初にするのは「なぜこの資料ではよくないのか」の原因を示すことです。 誤字が多いなら提出前に読み返すように指導し、データが甘いのなら、精度の高いデータの取り方を教えます。 人を責めずに行為を注意、指導するように心がけます。
次に、ミスによって誰がどのような影響を受けるのかを伝えます。 資料として会議で使えないとか、プレゼンテーションに通らないなどの影響を説明します。
さらに、指導者のあなたの「残念」「悲しい」という感情を伝えます。 女性は、理屈よりも感情からの説得が効果的です。自分の行為が結果として、相手に悲しい思いをさせてしまった、と感じることで内省が促されるのです。
そして最後に、相手に「期待している」ことを伝えます。叱られただけだと「もうダメだ」と落ち込みますが、期待の言葉を強く添えることで、 顔を上げて前を向くことができます。締めの言葉を期待で結ぶことで「期待されているから叱られたのだ」とポジティブに捉えられるのです。
これらのステップをまとめた叱り方の例が下枠です。
この資料は、誤字が多いので提出前に見直すように。このままではクライアントに足元を見られてしまいプレゼンが通るとは思えない。 そうなってはとても残念だ。私は○○さんには期待しているから、もう一度作ってみてほしい。
まとめ
以上、女性の部下を叱るときのポイントについて説明しました。
感情的に怒らない、指導するときは場所を変えるなどして周りの目に配慮する。その上で、次の4つのポイントに留意します。
- ミスの原因を提示する
- そのミスによる影響を説明する
- 自分の感情を伝える
- 期待していることを伝える
叱らないことでスキルアップしないことも問題ですし、叱り方が悪く女性社員がやる気をなくしても個人の問題に留まらず会社としても大きな損失です。
正しい叱り方、指導法を身につけて、女性の力を存分に引き出しましょう。