新聞は生き残れるのか。新聞業界にいると、この話題は頻繁に議論されます。紙の新聞は、今後さらに部数を減らし、いずれ立ち行かなくなるでしょう。当然、新聞や折込チラシを宅配する販売店やそれに関わる業者の経営環境も厳しくなります。
一方で、新聞社自体は、いずれ従来の宅配主体のビジネスモデルに見切りをつけて、ユーザーへの「新聞記事」の直売に舵を切るといわれています。
新聞の電子化がすすまない理由
新聞社が「紙」に固執するのは、これまで新聞社を大きく育ててくれた功労者である販売店の顔を立てているからです。新聞記事をデジタル化すること自体は、難しくありません。問題は、新聞記事をデジタル配信した後、販売店はどうやって口に糊していくか、その答えが見つからない点にあります。
日本経済新聞社は、ほかの新聞社と比べて、早く電子化に力を入れています。なぜ、それができたのか。理由は、専属販売店がほとんどないからです。経済専門紙の日経は、都心部以外の読者への配達は、各地の地方紙の販売店に委託しています。もともと販売店との関係が薄い日本経済新聞社は、思い切って電子化をすすめることができたのです。
一方、ほかの新聞社は「紙の新聞を購読している人には電子版を割引します」という方法を採っています。しかし、中途半端であまりうまくいっていないようです。
たとえば、朝日新聞のデジタルコースの月ぎめ料金は3800円です。一方、朝日新聞の宅配価格は、朝刊月ぎめ3093円です。朝刊購読者は、1000円を追加し4093円を払えば、ダブルコースとしてデジタルと紙の新聞の両方を購読できます。この価格設定を見ても、新聞社がいかに販売店に配慮しているかがわかるでしょう。
新聞社の生き残る道
このようにデジタル化の進まない新聞業界ですが、しかしそれでも生き残りの道は、記事のデータベース化と全文検索ができるシステム整備にあるといわれています。
記事の検索は「グーグルですればいい」という意見があります。しかし、現在は、ソーシャルメディアが普及した影響で、検索結果の上位に表示されているものは、話題になっている情報ではあっても、内容に信頼がおけるか否かは、一概にはいえません。
意外に検索できない過去の出来事
実際、今、もっとも検索できないのは10年ほど前の情報だといわれます。2000年頃にどういうことがあったのか、詳しく知ろうと思ってもネット上で体系的に検索するのはかなり難しいのです。
グーグルの検索では、ものすごく下位に位置づけられてしまって、ほとんど掘り出せませんし、新聞社も当時は、今以上にネットに記事を掲載することに慎重になっていたので、記事そのものがありません。個人のウェブサイトも、当時のプロバイダ契約が切れていて読めなくなっていることも多いようです。
ネットに情報を置いておけば、半永久的に知の共有ができるという暗黙の前提が、ここ数年で崩れてしまいました。記事が消えてしまい、さらにグーグルのアルゴリズムが変わることまでは想定していなかったのです。結果、ネットは過去記事のアーカイブの場所として機能しなくなってきているのです。
ストック情報が新聞社の財産
こうしたネット状況を鑑みると、すでに膨大なデータを持っている「新聞」は非常に頼りになるし価値があります。新聞社には、何十年にもわたり綿密な取材をして集めてきた情報がストックされているからです。
グーグルで検索しても情報が見つからないときに、月にいくらかを払って新聞社のサイトで検索したら、信頼できるいい情報が見つかる。そうなれば需要はあるはずです。新聞は「過去記事のデータベース化」によって生き延びていくのです。
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