新聞と広告の向こう側

新聞のつくり方・広告を読み解く視点

【劣後順位】やらないことを決めて成果を上げる方法

劣後順位を意識しよう

年始になると、新たに目標を立てる人が多いと思います。個人的に目標を立てることもありますが、会社に勤めていると経営者から「課の目標を掲げよ」と指示されます。

目標というと、何か1つこれまで成し遂げられていなかった物事に、追加で取り組む印象があります。しかし、これまででも手一杯なのに、追加で取り組んで成果が上がるのでしょうか。

わたしは、何かをはじめるときは、何かをやめる劣後順位の決定が大切だと考えます。

優先順位より劣後順位を決める

今年やりたいことを決める人は多いのですが、そのために今年から「やめることを決める」人はあまりいません。

限られた時間を新しい取り組み、成果を上げるべき取り組みに割り当てるには、これまで当たり前にやっていたことを見直し、場合によっては中止する必要があります。

何を行い、何をしないか。能動的に選択することで、時間や労力、費用という希少資源を成果を上げると決めたものに集中投下できます。

従来の取り組みを見直すことなく、新たな取り組みを増やしても、結局、力が分散して望ましい結果が得られません。ドラッカーは著書「経営者の条件」で、成果を上げるためにやめるものを決めることを「劣後順位」と呼んでいます。

劣後順位の読み方は、「れつごじゅんい」です。

 

何に時間が失われているか

年末年始は、長期休暇にも関わらず、終わってみると「特別何もしないまま」に過ごしていることが少なくありません。

しかし実際は、ぼんやりすることも含めて何かしら時間を使っていたわけです。ある一定期間を定めて、何に時間を消費しているか、を記録し振り返ることは、前項の劣後順位を決める上で、有効です。

経営者の条件でも、何に時間を使っているか客観的に把握することの重要性が説かれています。

誤解しないで欲しいのですが休息がいけない、というわけではありません。漫然と何に時間を使っているか意識しないで時間を失うのがもったいない、という話です。

 

経営者の条件が指す経営者とは?

経営者というと、企業のトップを意味する言葉だと思われがちですが、ドラッカーの言う経営者とは、為すべきことに向け「自らをマネジメント」する者を表します。

したがって誰もが、自分という存在の手綱を握る経営者だといえます。

数年前「もしドラ」をはじめ、ドラッカーのマネジメント関連の著作が注目されましたが、その中でも「経営者の条件」は、わたしたち一般人にもっとも身近で親しみやすい一冊です。

 

高生産性シフトの時代

2016年は、大手広告代理店の労働問題が耳目を集めました。成果を上げるために時間と労力を際限なく投入することの危険性を誰もが認識する事件となりました。

こうした流れを受け、限られた時間でいかに成果を最大にするか。投入する資源を最小化してアウトプットを最大化する「生産性の向上」が、重視される時代になっています。

グレッグ・マーキュン著の「エッセンシャル思考」、伊賀泰代著「生産性」、ちきりん著「自分の時間を取り戻そう」も経営者の条件と同趣旨の内容が説かれています。

 

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生産性を意識すると、人生の希少資源である時間やお金を、自分が本当に手に入れたいモノだけのために使えるようになります。みんなが当たり前のように持っているものでも、世間的にスゴイ、スバラシイと言われるものでも、自分にとってそこまで大事でなければ、希少な時間やお金を投入するのをやめられるようになるのです。

なぜなら、「みんなと同じ」をやっていては、自分がやりたいことをやるための時間もお金も足りなくなるからです。私の場合そうでなくともやりたいことが多いのに、希少資源の無駄遣いはできません。

みんながやっていることを、自分だけ止めるのは躊躇しますよね。でも「生産性が低すぎて人生の時間が無駄になる!」とわかれば、止める決断も簡単になります。(同書P247)

 

まとめ

自分の本当にやりたいこと、目標を達成するには、時間と労力の集中が不可欠です。そのためには、まず次の2つを意識しましょう。

  • 何に時間を割いているのか
  • 劣後順位(やめるべきこと)は何か

目指す生き方は「より少なく、しかしより良く」。目標や計画を単に追加するのではなく、そのために止めること、捨てることに注目しましょう。

紹介した書籍は、すべて読む必要はありません。こうした本を読んだことがなければ、自分に合いそうなものを一冊選んで目を通してみてください。