- 年始の人混みを避けてお参りをしたい
- ご利益のある日にゆっくり参詣したい
- 初詣は都合でいけない
コロナ禍以来、人混みを避けてお参りをしたい人が増えています。新年の正月三が日は、参詣客で神社が賑わうため初詣にはためらいを感じる人も。
そこで年内の人の少ない時期に参詣をする「年末詣」をおすすめします。
年内の参詣は、清浄な境内でゆっくりお参りできるのがメリット。この記事では、年末詣の由来と魅力、参詣の時期、作法をご紹介します。
年末詣とは? - 由来は「年籠もり」
年内の12月中旬から大晦日までに神社にお参りをするのを年末詣でといいます。
由来は年籠もり(としごもり)の儀式です。
年籠りは、村長や家長が地域の氏神様が祀られる神社に大晦日の夜から元日の朝まで寝ずに籠もり豊作や家内安全を祈願するもの。
これは後に、大晦日の夜と元日の朝に社寺に参拝する行事に分かれます。
年末詣での中でも大晦日にお参りすることを除夜詣といいます。年末詣は1年間の感謝や新年の抱負を神様に伝えるお礼参りの意味があります。
年末詣での魅力3つ
- 参詣者が少なくお参りしやすい
- 神社内が清められている
- お正月は自宅でのんびり過ごせる
参詣者が少なくお参りしやすい
神社は初詣に出かけるもの、という先入観が多くの人にあるので年末の神社は静かです。
今年1年の感謝と来年の心構えを神様の前で誓うには、人の少ない年末が向いています。
本来、お賽銭は賽銭箱に投げ入れるものではありません。神様への供物ですから心をこめて捧げましょう。
煤払い後の神社は清浄
新年を迎える準備で、12月13日の煤払い以降の時期はいつも以上に神社内は清浄です。
しかし初詣に時期は、人混みで神社の清々しさが感じにくくなります。年末詣でなら参詣者も少なく清浄な空気の中でお参りできます。
お正月は自宅でのんびり過ごせる
新年3が日は参拝者で混雑し駐車場も満車。人混みでお参りもゆっくりできません。
年末詣でを済ませておけば、年始は自宅でのんびり過ごせます。
年末詣でに出かける時期と神社
時期は冬至から30日まで
年末詣では煤払い以降の12月13日から31日に参詣します。
しかし、大晦日の31日は除夜詣での参詣者で混雑するので避けた方が無難です。
年末詣で最適日は「冬至」
1年で一番夜の長くなる冬至は古来中国で新年とされ、日本の宮中行事では新嘗祭が執り行われていた日です。
明治以降、新嘗祭は新暦の11月23日「勤労感謝の日」に定められましたが、本来、冬至は新年であり天皇が五穀豊穣を願う神聖な日。 翌日より太陽の力が日々回復していく特別な日とされます。
冬至の別名を「一陽来復(いちようらいふく)」と言うのはこのためです。
こうした歴史的背景から、年末詣は12月22日の冬至から30日の晦日がおすすめです。
冬至の日程 | |
---|---|
2022年 | 12月22日(木) |
年末詣は日中・時間は六曜を参考に
基本は日中に参詣します。理由は、日没後は神社の結界が弱まるため。
除夜詣で焚火を絶やさないのもこれが理由です。
個人的には早朝が清々しくおすすめです。
よりご利益のある時間帯にお参りをするなら六曜(日にちの吉凶を占う指標)を参考にしましょう。
六曜(日柄)と参拝時間 | |
---|---|
先勝 | 午前中の参詣が吉 |
友引 | 朝は吉・夕の参詣は大吉 |
先負 | 午後の参詣が吉 |
仏滅 | 参詣を避ける |
大安 | 終日参詣に適した日 |
赤口 | 午前11時~午後1時に参詣 |
2022年12月「年末詣で」おすすめ日時
2022年12月22日ー30日の六曜 | ||
---|---|---|
22日 | 先負 | 13時-15時 |
23日 | 赤口 | 11時-13時 |
24日 | 先勝 | 7時-11時 |
25日 | 友引 | 7時-8時/15時 |
26日 | 先負 | 13時-15時 |
27日 | 仏滅 | --- |
28日 | 大安 | 7時-15時 |
29日 | 赤口 | 11時-13時 |
30日 | 先勝 | 7時-11時 |
七五三参りでは六曜を重視しますが、年末詣ではあまり気にする必要はありません。
年末詣でに参詣する神社は氏神様
年末詣でに参詣する神社はどこが良いのでしょうか。一般的には、地元の神社、縁のある神社が良いとされます。
この記事で使っている写真は、尾張一宮の真清田神社で撮影したものです。
喪中・忌中の年末詣は控える
喪中は、家族などの身近なひとや、親しいひとの死を悼み、不幸を乗り越える期間です。一般には1年とされます。
また、忌中という期間もあります。これは仏教では49日、神道では最大50日です。神社の忌中の期間を表にしておきます。
神道の忌中の期間 | |
---|---|
同居人(血縁関係なく) | 50日 |
父母・配偶者・子供(7歳以上) | 10日 |
祖父母・兄弟姉妹 | 5日 |
配偶者の父母子供(7歳以上) | 5日 |
甥・姪・おじ・おば | 2日 |
忌中は神社に参詣しません。
神道の考えで死は穢れにあたり、神様のいる神社に穢れを持ち込むことはよくないとされるからです。
忌中の期間は、祝い事には参加しないで静かに暮らします。
年末詣での作法
鳥居では身だしなみを整えて一礼
鳥居は外界と聖域との境界です。
行き帰りに鳥居をくぐる際には、身だしなみを整え一礼をしてからくぐりましょう。
参道を歩く際は、できるだけ端によって歩きます。
御手洗
神社に入ったら御手洗(水舎)で手を洗います。
- 右手にひしゃくを持って水をすくい、まず左手に水を掛ける
- 左手に持ち替え、右手に水を掛ける
- また右手に持ち替え、左手をおわんじょうにして水を受ける
- その水で口をすすぐ
- 残った水を流して、ひしゃくを元の位置に戻す
お札の奉納とお賽銭
古いお札やお守りを年末詣に持参します。 これらは境内に納め札として納める場所があります。
納めた後はお礼のお賽銭を。
お札やお守りは神社で年末や年始にお焚き上げをしてくれます。
お賽銭の金額に決まりはありません。5円玉はご縁につながり縁起がいいとされます。
金額 | 5円玉の枚数 | 願い> |
---|---|---|
5円 | 1枚 | ご縁に巡り合いますように |
10円 | 2枚 | 重ね重ねご縁がありますように |
20円 | 4枚 | 良(4)いご縁がありますように |
30円 | 6枚 | 安定と調和のとれたご縁がありますように |
40円 | 8枚 | 末広にご縁がありますように |
避けたいのが10円玉1枚をお賽銭に入れること。これは遠縁(10円)になるという話も。
お賽銭は感謝の意を伝え、お祓いの意味もあります。投げ入れるのではなく賽銭箱に丁寧に入れましょう。
拝礼は二礼二拍手一礼
- 拝殿前に進み出て最初軽くおじぎをする
- お賽銭を入れ、鈴を鳴らす
- 2回深く礼をする
- 2回拍手をする
- 胸の前で手を合わせ祈ります(拝礼)
- 1回深く礼をする
- 最後に軽くおじぎをして退く
拝礼は、神様に「お願いではなく感謝を伝える」こと。年末詣では原則お礼参りですから「一年無事に過ごすことができました」と感謝の報告をします。
拝礼の際には、住所と名乗りをあげることで神様にあなたの存在が伝わります。
まとめ
以上、年末詣でについてご紹介しました。
一年の感謝を伝える参拝には、年末詣でが最適です。年末詣をしておけば、混雑する新年松の内の初詣は無理に行う必要はありません。
初詣は、明治時代中期からの習慣で比較的新しいものです。鉄道が普及していく時代に恵方の神社を参詣するというPRで定着していったものです。
旧暦では立春(2月4日頃)が新年でしたので、年末詣でをした場合の初詣は立春に行ってもいいでしょう。