NIE(エヌ・アイ・イー)とは、Newspaper in Educationの略。「教育に新聞を」という意味です。
学校の授業に新聞を積極的に活用することで、文字に親しみ、「自分で考える力」と「生きる力」を身につけてもらうことが、NIEのねらいです。
この記事では、NIEの歴史と世界の取り組みについて説明します。
NIEの歴史
NIEは、1930年代にアメリカの代表的な新聞「ニューヨーク・タイムズ」の手によってはじまりました。
1955年、ニューヨーク・タイムズがアメリカのアイオワ州で、中学生に行った調査をきっかけに本格的な取り組みが開始されました。
調査では、5500人のうち4割もの生徒が教室以外では、まったく文字を読まないと回答したのです。
この結果にショックを受けた地元の新聞社デモイン・レジスターは、米国教育協会の協力を得て、新聞を教育の場に取り入れる活動を開始。
その活動は、アメリカ全土から世界へと広がっていきました。
NIEは世界80ヵ国以上で実施
世界では80か国以上でNIEが実施されています*1。具体的にはどのような活動が行われているのでしょうか。
オランダ
オランダの地方紙ブラバンツ・ダグブラッドとアイントホーフェンズ・ダグブラッドは、毎年11歳から19歳の生徒を対象に紙面づくりのアイデアを募集しています。
優秀作は記者と共同で紙面化し、実際の記事として掲載されるのです。
オーストラリア
メルボルンのマウント・スコーパス記念学校では、生徒が二人一組になって、新聞広告に興味を持ったお客と広告を出した店の店員の役割を演じ、やりとりする授業が行われています。
楽しみながら新聞に親しんでもらうのが、この授業のねらいです。
フランス
パリ市内のエドモン・ミシュレ中学校では、生徒が家庭から持ち寄った多様な新聞を黒板に貼って読み比べてみるという学習をしています。
世の中にはいろいろな考え方があり、同じ事件についての報道もさまざまであることを理解するためです。
日本のNIEの取り組み
日本では1989年から教育界と新聞業界が一体となってNIEを推進してきました。
2016年度は542の学校で新聞が「生きた教材」として使われています。
新聞をスクラップする、他紙と読み比べる、新聞社から派遣してもらった記者の話を聞くなど、学校によってさまざまな授業が行われています。
NIEは、国語や社会だけでなく理科や算数、体育などの教科にも役立てられています。
おわりに
いかがでしたか。
今回は「世界に広がるNIEの取り組み」についてご説明しました。
日本だけではなくオランダ、オーストラリア、フランスなど世界各国でNIEの活動が行われていますね。
日本では、毎年、日本新聞協会がNIE全国大会を開催しています。2017年は、8月3日・4日に名古屋国際会議場で第22回全国大会が行われました。大会のテーマは「新聞を開く 世界をひらく」。
新聞学習を通じて世界に目を向けるきっかけとなるといいですね。
今後のNIE全国大会は、2019年の第24回は宇都宮市で8月1(木)、2(金)の両日に、2020年の第25回は東京で11月に開催することが決まっています。
*1:世界新聞・ニュース発行者協会WAN-IFRA調べ