新聞を毎日読んでいるでしょうか。はじめて読む人にとって新聞は難しい、という声があります。2009年のインターネット調査では、50%を超える人が新聞は難しい、と答えています。
就活をはじめると新聞を読み始める学生がいます。私もそうでしたが、読み始めたばかりの頃は、難しくつまらないです。文字を追っても内容が頭に入りません。
理由は2つあります。ひとつは、出来事の理解に必要な用語の意味がわからないこと、もうひとつは、これまでの出来事の背景が見えにくいこと。これらが新聞が難しいと感じる理由になっています。
省かれる出来事の用語や背景
用語や背景を都度説明しない理由は何でしょうか?
理由は2つあります。
- 宅配を前提の連載情報だから
- 文字を大きくしたから
新聞は定期読者に向けた紙面
日本の新聞は、販売店が毎日宅配する前提で作られています。購読者は、固定しています。ですから、一度伝えた情報は繰り返さず、常に、続報を伝えるのが原則です。
ニュースは言葉どおり、新しいものが求められます。大半が定期読者の新聞では、既出の出来事を繰り返し書くと「もうそれは読んだ」と読者の不評を買いかねません。そのため用語や背景の解説が最小限になるのです。
大きな文字は情報量を減らす
もうひとつの理由「文字を大きくした」についてはどうでしょうか。現在の新聞は、数十年前の新聞に比べて1ページあたりの文字数が減っています。定期読者の高齢化対策で、文字を大きくしているのです。
文字が大きくなれば、見やすくなる一方で、紙面に入る文字数は減ります。昔は、文字がたくさん書けたので、出来事の用語や背景に触れる余裕もありましたが、現在では、続報だけで、紙面が尽きてしまうのです。
そういう意味で、現在の新聞は文字は大きいのですが、出来事を詳しく理解するには、伝えられる情報が少ないといえます。
一見には難しい情報の伝え方
世の中の動きを「すぐに押さえたい」という人には、新聞は不向きです。スマホなら、ひとつの記事に関連リンクが張られ、背景、用語も押さえられます。
日本の新聞業界は、宅配で伸びました。情報の伝え方、紙面構成も宅配を前提に進化したといえます。しかし現在では、かつて成長を支えた定期購読の仕組みが、一見さんに理解しにくい紙面を作り出し、読者を増やせない原因になっているのです。
こうした新聞業界の実情は、津田大介・池上彰「テレビ新聞ネットを読む技術 」で詳細に書かれています。