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【判明】フェロモン香水は女性に効かない? - 実験結果が示す意外な事実とは

フェロモン香水は女性に効くのか

異性を誘惑するアイテムとして「フェロモン香水」の宣伝を目にすることがありますが、この商品は実際のところ効果があるのでしょうか。

まず結論から言えば、ヒト誘引フェロモンとして男性ホルモンを合成した化学成分を配合したフェロモン香水は、人には効きません。

なぜなら、ヒトに対する性フェロモンは存在しますが、それを感知する器官が退化しているためです。

オスを誘うフェロモンの発見

1901年から目に見えない何らかの信号を持つにおい物質に関する実験が行われるようになりました。

きっかけはファーブルの「オオクジャクガの夕べ」の記述からです。昼間に羽化した1匹のメスをカゴに入れておいたところ、夕方に20匹近くのオスが集まってきたのです。

ファーブルは、オスの触覚がメスを感知していると突きとめました。

その後、ドイツの化学者ブーテナント博士らは、蚕の成虫のメスの尾から「ボンビコール」というオスの誘引フェロモンを抽出しました。

このフェロモン物質の発見以降、フェロモンの研究は活発化していくのです。

 

フェロモンの効果や作用

これまでに昆虫や動物の段階では、誘引などの性フェロモンから警報・道標・集合などを目的としたフェロモンが発見されています。

フェロモンの受容器官や感知するメカニズム、効果や作用の研究も進みました。

なかでも集合フェロモンは、除虫剤として商品化され市販されています。

 

ヒトに効かないフェロモン香水

研究の結果、ヒトの場合、フェロモンを受容する鼻の器官(ヤコブソン器官・鋤鼻器じょびき)の痕跡が幼児期には認められるものの、成長とともに退化することがわかりました。

受容器官が退化したヒトは、昆虫や動物のようにフェロモンを感知できません。フェロモン香水がヒトに効かないのは、このためです。

 

なぜか実験でフェロモンに反応する女性

ヒトに効かないはずのフェロモンですが、なぜか予想に反する実験結果出ました。ここでは、2つの実験結果を紹介します。

 

スイスのベルン大学・ウェデキント博士の実験

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対象は男女それぞれ約50名。最初に男女の免疫遺伝子HLA型*1を調べました。

次に、男子学生に2晩同じTシャツを着て寝てもらいます。余計な香りがつかない条件下で、体臭つきのTシャツを作ったのです。

その後、Tシャツを女子学生に嗅がせて、いい感じがするか、いやな感じがするかの評価をさせると次の結果が得られました。

HLA型が似ている いやな感じと評価
HLA型が似ていない いい感じと評価

 

米国のキャロル・オパーの実験

この実験では、男性の体臭がついたTシャツを細かく切り刻み箱の中に入れました。

箱を女性たちに渡してにおいを嗅いでもらいます。この実験では1回に2つのにおい箱を渡し「嗅ぎ続けるとしたらどちらがいいか」という判断の委ね方をしました。

そのうちの一方と新しい箱を組み合わせ、再度質問をして、箱に順位をつけていきます。

女性の先祖は、ドイツ―オーストリアからの移民。男性は、ユダヤ系、オランダ系、ドイツ系、ポーランド系、スコットランド系、シーク系、スペイン系とさまざまです。

実験の結果、HLA型が完全に不一致な男性よりも、自分と共通のHLA遺伝子をいくつか持つ男性を選ぶ結果になりました。

先述のウェデキント博士の実験とは逆の結果になったのです。

 

異なる実験結果が出た理由

ウェデキント博士とオパーの実験で逆の結果が出たのにはこんな理由がありました。

原則は、HLA型が不一致な男性にひかれる

しかし、相手の男性のHLA型が、女性が父親から受け継いだHLA型と同じである場合に限り、共通のHLA型を持った男性を選ぶ例外があるということなのです。

オパーは、実験参加者の女性のHLA型が両親のどちらから受け継いだものかを遺伝子から調べて理由を突きとめました。

フェロモンの受容体が退化しているはずのヒトが、フェロモンを感じ取っている実験結果が出たのが不思議ですね。

 

フェロモン香水で女性にモテる?

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フェロモンを使って彼女を射止めたいとしたらどうすれば良いのでしょうか。

彼女の血液を採取して、彼女が持つHLA型と自分のHLA型を調べて不一致数が多いかどうか探ることが重要になります。

もし同じHLA型だとしたら、嫌われる確率が高い遺伝子です。

それでもあきらめずに、彼女の父親のにおいを自分につけますか?

冒頭でフェロモン香水は効かないと書きましたが、彼女のHLA型と不一致のものであれば、効果がないとは言い切れません。

ただし、誰にでも効く魔法の香水は存在しないのです。

*1:ウイルスや寄生虫などに対する免疫物質で、この型の種類が多いほど、あらゆる免疫に対応できる強い体になります。臓器移植の際にも、術後の拒絶反応が起きないHLA型が一致する臓器提供者をあらかじめチェックします。