新聞と広告の向こう側

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違反にならない総付景品の広告事例│その無料プレゼントは大丈夫?

総付景品の規制

周年祭、感謝祭などのイベントで来店者や購入者に、もれなく景品(記念品・粗品)を提供することがあります。日頃の感謝をこめて、豪華な景品をふるまう企画を立てる場合もあるのではないでしょうか。

しかし、こうした企画を広告する場合、注意すべき法律があります。不当景品類および不当表示防止法、すなわち「景品表示法」です。

この記事では、景品表示法の総付景品(そうづけけいひん)の規制について事例をまじえて説明します。

総付景品とは?

総付景品とは、取引に伴って、もれなく景品類を提供することをいいます。取引には、商品やサービスの購入や利用だけでなく、来店すること自体も含みます。たとえば「期間中、来店者全員に○○プレゼント」。売買は発生していませんが、これも総付景品です。

また「期間中、先着○名の方に○○プレゼント」という先着表示も総付景品に含まれます。「もれなく」ではないのに総付景品の対象になるため、誤解されやすいものです。

総付景品の最高額の制限

景品表示法 第3条(景品類の制限及び禁止)で、総付景品には最高額の制限が定められています。

取引価額が1000円未満の場合、景品類の最高額は200円。取引価額が1000円以上の場合、景品類の最高額は、取引価額の2/10です。たとえば、来店者全員にプレゼントを渡す場合、景品の価格は200円以下に制限されます。

周年祭、感謝祭といえども総付景品の最高額の制限は守らなければなりません。

取引価額 景品類の最高額
1000円未満 200円
1000円以上 取引価額の2/10

総付景品広告のケース・スタディ

この項目からは、実際によくある景品事例をもとに広告が景表法の総付景品の規制に触れるか否かを確認しましょう。

来店者全員に粗品プレゼント

粗品(景品)が、市販されており価格がついているものは、200円以下に制限されます。しかし、店舗の開店イベント等で、取引業者からの協賛品、試供品など価格の設定されていないノベルティ(記念品)などの提供は実施できます。

総付景品は、このように200円以下か、価格のつかないものにします。

チキンお買い上げでポテトとドリンク無料進呈

この場合は、ポテトとドリンクの合計価格が200円を超えるので総付景品の規制対象になります。総付景品として扱う場合は、この広告は掲載できません。

割引表現に変えると掲載できる

たとえば、チキンが700円でポテトとドリンクがそれぞれ250円の場合、合計金額は1,200円です。この場合、次のように表現を変えると広告掲載できます。

  • チキン+ポテト+ドリンク(通常1200円)を700円で提供

チキン購入に伴うポテトとドリンクの無料提供ではなく「チキンとポテトとドリンクのセットを700円で販売する」割引表現にします。無料表現が消えますが、実質的には同じ意味になります。

ピザ注文の方に100円のトッピング券5枚綴りプレゼント

トッピング券5枚綴りは、実質500円分のプレゼントなので使用条件がなければ、総付景品の規制対象です。

使用条件を明記して掲載する

この場合、「ピザ1枚注文につき1枚ずつご使用いただけます」と条件を明記することで広告掲載ができます。1回の使用額が、200円を超えない制限をつけることで、このようなチケットのプレゼントができます。

まとめ

以上、総付景品の制限について事例をあげて説明しました。広告主は、消費者に喜んでもらう意図で「豪華な景品」を用意することがあります。しかし、そうした場合でも景表法の総付景品の制限は免れません。

正しく理解して、景表法を順守した広告を作りましょう。