小学校では、学校で育てた「朝顔」や「ミニトマト」の栽培を、引き続き家庭で行うよう指示されることがあります。
その際に、観察日記を書く宿題が出される話も耳にします。
この記事では、朝顔などの植物の観察日記をつけるときに押さえておきたいポイントを紹介します。まず、最初に「観察とは何か?」という点から確認しておきましょう。
観察日記の書き方
観察とは何か?
辞書で引くと観察とは「ものごとの真の姿を間違いなく理解しようとよく見る」と書いてあります。「見る」だけでは観察とは言えないのです。
では、どうすれば真の姿を理解できるのでしょうか。
大前提として、理解するためには考えるしかない当たり前のことを押さえておく必要があります。観察は、単に目でするものではありません。
これを踏まえて観察には2つ大事な点があります。
- 対象の変化を見る
- 見る範囲を拡大縮小する
対象の変化を見る
対象を理解するためには、それがどう動くか、どのように移り変わっていくかをまず見ましょう。それによって、そのものを初めて理解することができます。
したがって、「観察しなさい」の意味は、じっくりと見なさい、というよりは「長く見続けなさい」ということなのです。
ものによって変化する速度が違うことを最初に知り、その変化の速度に合わせて見届ける、というように観察するタイミングを測ることが大事になります。
朝顔のようにものすごくゆっくりと変化するものであれば、じっと見ているよりは、インターバルを決めて、毎日同じ時間、あるいは数日に一度同じ視点から見ることで、ようやく変化を観察することができます。
後述しますが、観察するとき「数字」に着目しなさいというのは、数字が変化を見るのに適したツールだからです。
見る範囲を拡大縮小する
これは対象をマクロに見るかミクロに見るか、ということ。これはレンズのズームみたいなものですが、できれば違った距離から、さまざまな角度で見る方が、真の姿を理解しやすくなります。
だいたいの場合は、興味のある対象には近づきたくなるから、クローズアップは自然にできます。難しいのはカメラを引いて、俯瞰する視点です。
これらを意識して朝顔の観察日記の書き方について説明します。まずは、典型的な観察日記の失敗例から見ていきましょう。
朝顔の観察日記の失敗例
朝早く、お水をやりにいくと、大きな花が咲いていました。とてもうれしくて、いつもよりたくさんのお水をあげました。
上は、よくある観察日記の文章です。
観察日記は、文章を書くだけでなく理科の学習と関連しています。
この観察日記では、理科の学習課題としては不十分です。何が足りないのでしょうか?
観察日記の書き方のポイント3つ
観察日記は数字を入れる
前項の例文は数字が足りません。
観察日記は、数字を意識して書くだけで、たちまち科学的な文章になります。
朝顔の葉っぱの色や枚数、大きさなどの数値を具体的に入れるのです。
「いっぱい咲いていました」
「大きな花」
「きれいな色」
こうした表現は、できるだけ数で客観的に表した方がいいのです。これが、将来の定量的、定性的な見方を育みます。
観察するときの着目点は?
定量と定性の違いに着目することが観察のポイント。
- 定量とは数えられること
- 定性とは数えられない状態や変化
たとえば、朝顔の定性的なものは、葉や花の色、形、つるの変化など。
観察日記では定量、定性の両方の見方が必要になります。何を書けばいいかわからない場合は下表を参考にしてください。
朝顔観察の着目点 | |
---|---|
花は何色か | 咲いた花の数 |
花は何時頃まで咲いたか | 花びらの形 |
つるの伸び方・方向 | 葉っぱの形 |
つぼみの形 | 種の色・形・数 |
形や色などは観察日記に絵(イラスト)で描き添えましょう。
観察日記で愛情を表現する方法
数字以外にも、観察日記の質を上げるポイントがあります。それは―
- 朝顔に話しかけた言葉を入れる
- 朝顔になったつもりで書く
これらを意識すると植物にかけた愛情を生き生きと表現できます。
朝顔の観察日記の改善例
ここまで紹介した3つのポイントをまとめると次のとおりです。
- 数字を入れる
- 朝顔に話かけた言葉を入れる
- 朝顔になったつもりで書く
では、実際に3つのポイントを意識して観察日記を書き直してみます。該当するところを太字にしました。
★★★
いかがでしょうか。
冒頭に示した例文に比べて改善例は、数字を入れたので、朝顔の様子が誰にでも具体的にイメージできるようになりました。
また、朝顔に対する愛情も伝わるようになったのではないでしょうか。
以上、朝顔の観察日記の書き方のポイント3つでした。