中学生の新聞作りでは報道文の書き方がポイントになります。報道文とは、できごとを伝えるために書きあらわした文章です。
新聞のニュース記事は代表的な報道文です。
本稿では、事実関係を簡潔に伝える報道文の書き方を具体例をあげて解説。加えて新聞特有の文体にもふれます。
日頃、目にする新聞記事と変わらない報道文が自在に書けるようになります。
新聞記事は報道文
新聞記事は、記者が現地に足を運んだり関係者に話を聞いたりして取材した情報をもとに書きます。
記者は、出来事と読み手を文章でつなぐ仲立ちの役を担います。
新聞は、根拠のある事実を端的に伝える報道文です。裏付けのある事実を端的に伝えるために、新聞記事では「5W1H」を用います。
報道文は5W1Hでまとめる
5W1Hとは何か
When「いつ」、Where「どこで」、Who「だれが」、What「なにを」、Why「なぜ」、How「どのように」を表す英単語の頭文字をとったもの。
新聞記事では、5W1Hの切り口で出来事を客観的に伝えます。
新聞記事の文体・文末表現
報道文は「です・ます」「だ・である」調ではない
新聞記事は「だ・である」調で書くと思われがちですが、実際は違います。「です・ます」「だ・である」は、書き手の主張を伝える表現だからです。
報道文である新聞記事は、社説やコラムを除き、書き手の主張(意見)を伝えません。出来事の事実だけを5W1Hで伝えます。
意見や解釈は、読者に委ねられます。したがって記事は中立の立場で書きます。
報道文の時制
時制とは、出来事の生じた「時」を伝達時を基準に位置づける文法形式のこと。
出来事の生じた「時」 | 文末表現 |
---|---|
現在の出来事 | 現在形 |
これから起こる出来事 | |
過去の出来事 | 過去形 |
時制・文末表現の例
報道文の体言止め・用言止め
体言止めとは、文末を名詞、代名詞で終えるもの。用言止めは、動詞、形容詞、形容動詞で終えるものをいいます。
事実を簡潔に伝える新聞記事では、体言止め、用言止めが多用されます。
新聞記事では、記者が意見を述べることはできません。しかし、関係者の意見は、誰が話したのかを示して「」で括って引用できます。
誰の意見を採用するかは、記者の判断。この判断に記者の主張が込められているともいえます。
新聞記事の印象操作
新聞には記者の主張を書かないのが原則。しかし事実に、新聞社の主張を巧妙に紛れ込ませている例は少なくありません。代表的なものを挙げます。
- 5万人の来場者で賑わった。
- 売上は前年の13%減と大幅に落ち込んだ。
賑わったのかどうか、13%減が大幅かどうか、これらは記者の解釈です。
本来は「5万人が来場した」「売上は前年の13%減の○億○千万円」とだけ書きます。あなたが新聞記事を書くときは、事実だけを書くように心がけてください。
まとめ
- 報道文は5W1Hで伝える
- ですます調/だ・である調は使わない
- 現在・未来の出来事は現在形で書く
- 過去の出来事は過去形で書く
- 文末は体言止め・用言止めを使う
報道文には記者の主張、意見、解釈は書きません。ただし、関係者の発言は、カッコ書きで誰が話したかを示して記事にできます。
記事は、出来事のあらましを正確かつ簡潔に読み手に伝えるものです。読み手が、多様な意見、解釈を持てるよう、事実を中立的な立場で書きましょう。
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